「怖い話」(8月13日)
「はい、どうもー。シンタマカブリでーす」
「よろしくお願いしまーす。拍手ありがとうございまーす。僕がシンタマカブリのオリンピックに出てない方です」
「俺も出てねえよ。オリンピック出場経験のある芸人がいるなら連れてきてみろってんですよ。ねえ?」
「バカヤロウ! 猫ひろしさんがいるだろうが!」
「いたなあ。いたいた。カンボジア国籍取ってカンボジア代表でリオ・オリンピックに出た芸人さん」
「猫ひろしさんの話はそのへんにして。皆さん、夏といえば、何を思い浮かべますか?」
「夏といえば! これはたくさんありますけどね。俺はやっぱりスイカだな。キンキンに冷やしたスイカをガブッといくのが好きですね」
「残念! 違います!」
「なんでだよ! 違うってことはないでしょうよ。こんなん人それぞれなんだから」
「僕が欲しい答えじゃないからダメ」
「お前が欲しい答えをピンポイントで当てなきゃダメなの? 候補が多すぎるからさ、ちょっとヒントちょーだいよ」
「食べ物ではありません」
「お、これはグッと減りましたよ。じゃあ、花火でどうだ!」
「おっ! これはっ!? …………違います」
「引っ張り方が突破ファイルの内村さんなんだけど」
「花ではありません」
「花火も、花ではないんだけどな。まあ、とりあえずヒマワリが消えたってことでいいか。じゃあ次は……盆踊り!」
「これはっ!? …………違います、が!」
「早くも『が!』がでましたよ。知ってる、知ってる。答えに近づいたときに出る反応だ」
「踊りではありません」
「これは全然嬉しくないヒント。答えに近づいたからですかね。盆踊りが正解に近いということは……わかった! わかりましたよ、これは。正解はお祭りだ!!」
「違いますっ!!」
「うわっ、自信満々で外した! はっず。しかもこれ、答えから遠くなったときの反応だ」
「そっちじゃない。そっちじゃないんです」
「うーん……。じゃあ、お墓参り?」
「これはっ!? …………おしいっ!!」
「わかった! 怖い話、怪談でしょ!!」
「とっぱぁぁぁぁぁっ!!」
「よっしゃあっ!! って、これなに!? なんで漫才じゃなくてガチでクイズやらされてんの、俺」
「そういうわけで、今日はちょっと怖い話を聞いてもらいたいんだけど」
「長い長い長い。振りで持ち時間の半分以上使うのは聞いてない」
「だって、お前が全然当ててくれないんだもん」
「『だもん』じゃねえわ。むしろ本家より当てるの早かっただろ」
「ほん……け?」
「しらばっくれても無駄だぞ。お前、最後『とっぱぁぁぁぁぁっ!!』ってハッキリ言ってたからな」
「それでは判定です。…………シンタマ親王!」
「ダメダメダメ。トッパーマンシールの種類を勝手に増やしちゃ。それにこのシールは『ひらめきトッパーマン』で使うやつでしょ? 今の流れに『ひらめき』の要素は一切無かったよ」
「『ひらめきトッパーマン』って『伊東家の食卓』みたいなやつ?」
「やめろやめろ。心で思っても絶対に口にするな。テレビ番組っていうのはパクりパクられを繰り返すものなんだから」
「僕らもあの番組出たいなあ」
「出たかったけど、たぶんもう使って貰えねえよ俺たち」
「ところで、そろそろ怖い話してもいいかな?」
「そうだ。そうだった。元々はそういう話だった。もう持ち時間終わるんだけど、まだ間に合う?」
「大丈夫、大丈夫。そんなに長くないから」
「ちなみにどんな話?」
「漫才をはじめたはずが、相方からいきなりクイズを出されて、振りで持ち時間の半分以上を使わされた挙句に、なぜか最後はテレビ番組の悪口を言う流れになった、っていう世にも恐ろしい目に遭った芸人の話なんだけどさ」
「その話はよく知ってるよ。やめさせてくれ」
【了】
🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤
8月13日は「怪談の日」です。
稲川淳二さんが「MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談ナイト」20周年連続公演を記念して制定したそうです。それは『稲川淳二の日』なのでは?
残り18本ですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます