第2話博人

「さあ、ミッション1を開始します。」

DEMONの冷酷な声が部屋に響くと同時に、部屋の明かりが一斉に消え、暗闇に包まれる。正樹は銃を構え、周囲の気配を感じ取ろうとするが、視界が悪く、動きが制限されていた。幼虫型の生物たちがうごめく音が、部屋の中に響き渡る。

そのとき、部屋の隅で大きな物音が聞こえ、参加者たちの注目が集まる。目の前には、寝癖がひどくついた髪と、やや不良っぽい風貌の男、中学生の頃からなぜか周囲に気に入られていた「日下部博人」が立っていた。彼は冷ややかな表情を浮かべながら、手に持った銃をじっと見つめていた。

「俺はこのゲーム、どうせなら楽しませてもらうぜ。」

日下部博人は冷ややかに笑いながら、他の参加者たちを見渡した。その言葉には冷酷さと狂気が混じっており、部屋の空気が一層緊迫する。正樹はその異様な雰囲気に不安を覚えながらも、銃を構え直す。

ゲームが始まると同時に、参加者たちは一斉に幼虫型の生物を探し始めた。正樹も必死に周囲を探索し、見つけた生物を撃ち始める。しかし、そのうちに日下部博人が動き始めると、彼の行動が異常であることに気づく。

「ふふ、さて、どうしようかな。」

日下部博人は冷ややかに笑いながら、他の参加者たちを次々と銃で撃ち殺していった。正樹はその恐怖の光景に驚愕し、何が起こっているのか理解しようとするが、博人の冷酷な行動がますますエスカレートしていく様子を見つめるだけだった。

「な、なんでこんなことを…!」

正樹は恐怖と混乱の中で、博人が他の参加者たちを次々と撃ち殺していく姿を見つめる。博人の冷酷な笑みと、部屋に広がる残酷な光景に、正樹の心は深く打ちひしがれていた。

部屋には次第に正樹と博人だけが残ることになった。博人は、正樹の方を見て満足げな笑みを浮かべると、銃弾を山分けし、その数を正樹に示しながら言った。

「正樹、お前以外は皆殺しにしちまったぜ。中学生の頃からずっと、お前のことが好きだったからな。だから、お前とだけは協力して、もっと楽しいゲームにしようと思ってな。」

正樹は震えながらも、博人の言葉に愕然とする。博人が他の参加者たちを全て殺し、今や自分と二人だけになった状況を受け入れざるを得なかった。博人は続ける。

「この銃弾を半分分けるから、俺と一緒にこのゲームを楽しもうぜ。幼虫型の生物を駆除するのは、これからの試練の一部だ。お前となら、きっと楽しくやれると思うんだ。」

正樹はその場で動揺しながらも、博人の提案に従うしかないと感じる。彼は銃弾を受け取り、博人と共に協力して幼虫型の生物を駆除する準備を整えた。博人の冷酷さと、これから始まる試練に対する深い恐怖が正樹の心に広がっていく。

「よし、これからは二人で協力して、次のステージに進むための試練を乗り越えよう。俺たちの協力が必要だ。」

暗闇に包まれた部屋で、正樹と博人は向かい合い、互いの視線を交わしながら計画を練っていた。部屋の隅には、幼虫型の生物がうごめく音が不気味に響き、二人の緊張を高めていた。博人は冷ややかな笑みを浮かべながら、正樹に向かって話し始める。

「正樹、まずは冷静に状況を把握しよう。幼虫たちは無数にいるが、これからの作戦を立てるためには、いくつかのポイントを押さえなきゃならない。」

正樹は頷きながら、博人の言葉を聞き取ろうとする。彼の心の中には、博人の冷酷さと残酷な過去が浮かんでくるが、今は生き延びるために協力するしかないと感じていた。

「まず、部屋の中に隠れている幼虫の数を把握しなければならない。音を立てるとすぐに気づかれるから、できるだけ静かに動くことが大事だ。」

博人は部屋の中央に置かれたテーブルに近づき、銃を使って幼虫型の生物を一掃するための道具を整理し始めた。正樹はその様子を見守りながら、作戦の立案に集中していた。博人が冷静に計画を説明し始めると、正樹も少しずつ状況を理解し始める。

「まずは、部屋の角にいる幼虫を一匹ずつ確実に排除していく。お前が左側、俺が右側を担当する。音を立てないように気をつけて、見つけたらすぐに撃つんだ。」

「了解しました。」正樹は頷き、銃を構えながら博人の指示に従う覚悟を決める。彼は博人の言葉に従い、部屋の角にいる幼虫型の生物を見つけるために、慎重に動き始めた。

二人は静かに部屋を探索しながら、幼虫型の生物を次々と排除していった。博人はその冷静な態度を崩さず、正樹もその指示に従いながら、確実に作業を進めていく。正樹は博人の計画が実行可能であることを感じながらも、彼の冷酷さに対する不安を抱え続けていた。

「正樹、こっちにもいるぞ。気をつけろ。」

博人の声が響き、正樹はその指示に従って、壁際に潜む幼虫型の生物を発見する。銃を構えた正樹は、狙いを定め、一発で排除することに成功する。その瞬間、部屋の中に静寂が広がり、二人の呼吸だけが聞こえる。

作業が進むにつれて、部屋の中の幼虫型の生物の数が減っていった。正樹と博人は協力し合いながら、次々と幼虫たちを撃退していく。しかし、その間にも正樹は博人の冷酷な目つきに対する不安を感じ続けていた。

「もう少しで終わるから、頑張れ。」

博人は正樹を鼓舞しながら、部屋の隅々まで徹底的に確認していく。正樹はその言葉に励まされつつも、博人の真意が気になって仕方がない。協力しながらも、彼の心には依然として不安と疑念が渦巻いていた。

部屋の中の幼虫型の生物がほとんど排除され、最後の確認作業を行っていた二人は、互いに安堵の表情を浮かべる。博人は冷ややかな笑みを浮かべながら、正樹に向かって言った。

「これで今回のミッションは成功だな。次のステージでも、引き続き俺と協力して乗り越えよう。」

正樹はその言葉に一瞬の安心感を覚えるが、博人の冷酷さと残酷さに対する警戒心は変わらない。彼は深く息を吐き、次なる試練に備える決意を固めた。

「了解しました。次もよろしくお願いします。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る