DEMON

白雪れもん

第1話DEMON

平正樹が目を覚ましたとき、彼は見知らぬ部屋に閉じ込められていた。無機質な白い壁に囲まれたその空間には、中央に長いテーブルが置かれ、その上には簡素な食器と何もない皿が並べられていた。正樹は目の前にいる見知らぬ十人ほどの人々に視線を移した。彼らもまた、困惑した表情で周囲を見回している。

「おい、ここは一体…?」

誰かが小さく呟くと、その声に反応するかのように部屋の一角が暗くなり、そこから冷たい声が響いた。「お集まりの皆さん、おはようございます。」

声の主が現れると、それは一人の男だった。男は高身長で黒いスーツを着ており、冷酷な笑みが浮かぶ顔は見る者に不安をもたらす。その男の周りには異様な緊張感が漂っていた。

「私が、このゲームの主催者であり、あなた方の運命を決定する者です。名前は高畠浩二、通称DEMONです。」

DEMONが一歩前に出ると、部屋の壁に大きなスクリーンが現れた。スクリーンには「デスゲーム」のタイトルが映し出され、その下に続けてゲームのルールが表示される。

「さて、これから始まるのは“生死の選別”と呼ばれるゲームです。」DEMONは冷たい声で説明を始めた。「ここでのルールは非常にシンプルですが、決して甘くはありません。」

スクリーンには次のような文字が流れる。

「ミッション1: 巨大害虫の駆除

時間制限: 30分

詳細: この部屋の中に、特定の害虫が隠れています。駆除するためには、部屋に設置された道具を使い、指定された数の害虫を捕まえること。」

参加者たちは一様に困惑した表情を浮かべる。正樹もその一人で、心臓が激しく打ち、全身に冷や汗が流れる。DEMONは続けて語りかけた。

「この部屋には、数種類の害虫が隠れています。それらを見つけ出し、所定の数だけ駆除しなければなりません。駆除の道具はテーブルの上に用意されています。」DEMONはテーブルの上を指差した。そこには、虫取り網や捕虫器、スプレーなどが並べられている。「これらの道具を使って、指定された数の害虫を捕まえてください。」

スクリーンが切り替わり、次に「失敗の結果」が表示される。

「もし指定の数を駆除できなかった場合、あなた方全員が処分されることになります。」

DEMONの言葉に、部屋の空気が一層重くなる。参加者たちは恐怖と緊張で顔を青くしながら、互いに視線を交わす。正樹は冷や汗をかきながら、部屋を見回し、害虫が隠れている場所を探し始めた。

「この試練はただの始まりです。」DEMONは冷酷に語り続けた。「成功すれば、次の試練が待っています。各ミッションは次第に過酷になりますので、心の準備を整えてください。」

DEMONは部屋を後にし、扉が音を立てて閉まると、部屋の中には参加者たちだけが残された。正樹は深呼吸をし、次のミッションに備えるための準備を始めた。周囲の人々もそれぞれの思惑を抱えながら、恐怖と不安の中で一歩を踏み出す準備を整えていた。

平正樹は、目を覚ますと自分の体が異様に小さくなっていることに気づいた。普段見慣れた部屋の中の物がすべて巨大化し、まるで縮小されたかのような感覚に襲われた。彼の手足は細くなり、服はだぶだぶになっていた。視界には、通常よりも大きく見える家具や道具が広がり、彼は困惑と恐怖の中に立たされていた。

「これが一体どういうことだ?」

正樹は鏡の前に立ち、そこに映る自分の姿を見て、驚愕する。体が縮んだことに加え、全身に不安定な震えが走り、動くたびに足元が不安定になっていた。部屋の隅には、他の参加者たちも同様に体が小さくなっていることが見て取れる。

そのとき、部屋の一角にあるスクリーンが点灯し、DEMONの冷酷な声が響き渡った。「皆さん、準備は整いましたか?」

スクリーンには「ミッション1: 巨大害虫の駆除」とタイトルが表示された。続いて、ミッションの詳細がスクリーンに映し出される。

「この部屋には、特定の害虫が隠れています。これからの試練では、あなた方の体が縮小された状態で、この害虫たちを駆除しなければなりません。」

参加者たちは一様に動揺し、恐怖の表情を浮かべる。正樹は不安でいっぱいになりながら、道具を手に取ろうとするが、それも今や巨大に感じられ、扱うのが困難になっていた。

スクリーンには、ミッションのルールが詳しく表示される。

「ミッション1: 巨大害虫の駆除

時間制限: 1時間

詳細: この部屋には、サイズが異常に大きくなった害虫たちが隠れています。指定された数の害虫を捕まえ、駆除してください。失敗した場合、あなた方全員が処分されることになります。」

DEMONの声が続く。「駆除の道具はテーブルの上に用意されていますが、そのサイズも変わっているため、慎重に使用してください。」

部屋には、網やスプレーなどの駆除道具が巨大化しており、正樹がそれらを使うのは一苦労だ。正樹は必死で網を振り回し、異常に大きなゴキブリや蚊を追いかけるが、虫たちの動きが素早く、捕まえるのは困難だ。

ミッションが始まると、部屋の中には異常な緊張感が漂う。巨大な害虫たちが部屋の中を這い回り、参加者たちがそれに対抗しようと必死に奮闘する。正樹の手は震え、網を使うのもままならない状態だった。

「う、うまくいかない…」

正樹は汗だくになりながら、巨大な蚊を捕まえようとするが、その動きは驚くほど敏捷で、網をすり抜けていく。彼の周りでは、他の参加者たちも同様に苦しんでおり、絶望的な様子が広がっていた。

突然、部屋の中で悲鳴が上がり、視線を向けると、一人の参加者が巨大なゴキブリに襲われ、その体が悲惨に潰されるのが見えた。彼の断末魔の叫びが部屋に響き渡り、部屋の隅には黒い液体が飛び散っていた。腐臭が充満し、残酷な光景が参加者たちの恐怖をさらに煽る。

ミッションの時間が刻々と迫る中、参加者たちは必死に害虫を捕まえようと奮闘し続ける。DEMONの冷酷な声が、スクリーンを通して再び響く。「時間が残りわずかです。駆除できなかった場合、次の試練に進むことになります。」

部屋の中は恐怖と焦燥感で満ち、参加者たちは限界を超えて挑戦し続ける。正樹も必死に網を振り回し、時間が迫る中で捕まえた害虫の数を数えるが、果たしてその結果がどうなるかはわからなかった。

ミッション終了の合図とともに、部屋の中の緊張感が一層高まる。スクリーンに「ミッション1: 終了」の文字が映し出されると、DEMONが再び姿を現し、冷酷な視線で参加者たちを見守る。

「駆除が不十分だった場合、次の試練が開始されます。あなた方の運命は、次の試練で決まるでしょう。」

正樹は深い息を吐き、次の試練に対する恐怖と不安を抱えながら、これからの過酷な試練に向けて心の準備を始める。部屋の扉が開き、参加者たちは次のステージへと進む準備を整えた。正樹の心には、これからの厳しい試練に対する覚悟と、生き残るための決意が渦巻いていた。

ミッション1が終了し、参加者たちが緊張の中で待機していると、部屋の中央にあるスクリーンが再び点灯した。正樹を含む参加者たちは、そのスクリーンに映し出される映像を注視していた。DEMONの冷酷な声が響く。

「皆さん、これからミッション1の本当のゲームを説明します。」

スクリーンには、恐怖を煽る映像が映し出される。無数の幼虫のような生物が、じっとりとした湿気の中でうごめき、暴力的な動きで他の生物を襲っている様子が映し出されていた。生物たちは異様に大きく、動きが恐ろしいほど速く、無数の触手が伸びてきては獲物を引き裂く。その場面はまさに地獄絵図であり、見る者に強烈な恐怖を与えた。

スクリーンの映像が切り替わり、DEMONの冷酷な声が続く。「これがあなた方が駆除すべき生物です。これらは幼虫型のモンスターで、あなた方の体が縮小された状態では非常に危険です。」

部屋の奥に設置されたテーブルの上に、黒い銃が置かれているのが映し出された。DEMONの声が続く。

「この銃を使って、先ほどの生物たちを駆除してください。銃の使い方は簡単ですが、対象が非常に危険であるため、慎重に行動する必要があります。これらの生物は異常な強さを持ち、あなた方のサイズでは直面するのが非常に困難です。」

正樹と他の参加者たちは、スクリーンに映し出された映像に目を見張り、恐怖の表情を浮かべていた。特に、幼虫型の生物が示す残虐な動きとその威力は、彼らの心に深い恐怖を植え付けていた。DEMONの冷酷な声が、さらに参加者たちの不安を煽る。

「時間は1時間です。この間に指定された数の生物を駆除しなければなりません。成功すれば次のステージに進めますが、失敗すればこの場で処分されることになります。」

参加者たちは、一斉にテーブルの上に置かれた銃を手に取り、戦う準備を始める。しかし、その銃のサイズもまた異様で、使いこなすには力が必要だ。正樹も銃を手に取るが、その重さと大きさに圧倒され、操作に苦戦していた。

「これ、どうやって使うんだ…?」

正樹は銃の取扱説明書を探しながら、他の参加者たちと共にテーブルの上に置かれた銃の使い方を学ぼうとする。しかし、その間にも部屋の中に点在する幼虫型の生物が、徐々に動き出しているのが見える。生物たちのうごめく音が、部屋の中に響き渡り、その恐怖が一層増していく。

スクリーンの映像が再び切り替わり、デモンの冷酷な声が続く。「駆除の際は、対象の生物が持つ異常な耐久力と攻撃力に注意してください。銃の弾は限られており、無駄に使わないように。見つけた生物を確実に駆除することが最優先です。」

部屋の角には、すでに幼虫型の生物が隠れており、暗闇からわずかに光る目が参加者たちをじっと見つめている。生物たちは、彼らが気づかないうちに近づき、隙を突こうとする。

「さあ、ミッション1の開始です。準備が整ったら、試練を始めてください。」DEMONの声が、部屋に冷酷に響き渡る。

正樹は恐怖と不安に押しつぶされそうになりながら、銃を構え、周囲を警戒する。体が小さくなり、恐ろしい生物たちに対峙するための準備を整えた彼と他の参加者たちは、今まさに生き残りをかけた戦いを始める瞬間を迎えていた。

部屋の中に緊張感が漂う中、正樹は深呼吸をして銃を構える。彼の手は震え、全身に汗が流れる。幼虫型の生物が動き出すと、その威圧感と恐怖が一層強まる。

「これが、本当の試練なんだ…」

正樹は恐怖に震えながらも、これから始まる過酷な試練に立ち向かう決意を固める。部屋の中に広がる暗闇と恐怖の中で、彼の心には生き残るための強い意志が芽生えていた。

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