第20話 残り4日。バレてたの?

「……へ?」

「ね? そうなんでしょ?」


 突然そんなことを言われて、俺はぽかんと口をあける。

 その数秒後に、ぐわっと顔に熱が集まった。


「え、え、な、なんで」

「えー? そりゃ見てれば分かるっしょ」


 うっしっし、と笑う凛那。

 俺は手で口元を覆った。

 そんな分かりやすかったのか?


「……お前、絶対言うなよ」

「えー? 言わないよー! 言わないけどー! 楽しいじゃん? ねぇ! アタシなにか、手伝ってあげよっか!?」

「いらねぇ……絶対いらねぇ……」

「なんでよー!?」

「嫌な予感しか、しねーもん……」


 凛那は、なにおー! と俺の足を蹴ってくる。

 それが脛にヒットして俺は「うっ」と呻いた。


 俺達はビーチパラソルのあるところまで戻る。


「…………」


 みのりは、俺達をなんともいえない顔をして迎えた。


「みのり? どうした?」

「えっ……う、うん」


 みのりは、チラチラと凛那を見る。

 凛那も「ん?」って顔をして、みのりを見た。

 そこで、凛那はハッとする。


 みのりの腕を掴んで、俺から離れると、なにやらふたりでコソコソと話しだした。

 内容はハッキリと聞こえないが、パーカーは……とかなんとか言ってるようだ。

 凛那はくるっと振り返り、俺の元に走って来る。


「門川っ! アンタあとでフォローしときなさいよ!」


 そう言いながらコイツはまた脛を蹴ってきた。そして、すぐにみのりの方へ戻って行く。


「いってぇ! なんなんだよ……フォローって、なにを?」


 ***


 夕暮れ。

 海がオレンジ色に染まる頃、俺達は車の中にいた。


 遊び疲れた凛那とみのりの間に挟まれて、俺は枕になっている。

 ふたりとも寄りかかっていて、身動きが取れない。

 右と左から、すーすーと寝息が聞こえる。


(寝てる人間がいると、眠くなるよなー……)


 ふわぁ~っとあくびが出る。疲れたし、俺もまぶたが重くなってきた。

 気づけば視界は真っ黒になっている。


「あらあら」


 ウトウトとしてる時、母さんの声が聞こえたと思ったら、カシャッとスマホで写真を撮ったみたいな音がした。



 俺はこの後、家に到着するまで爆睡をかましたのだった。

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