第7話 残り17日。ラッキースケベ?

「あー……あづい……」


 8月15日。本日も晴天なり。

 今日は母さんに頼まれた買い物をしている。

 牛乳と玉子、それと俺のお昼ご飯。


 Tシャツをぱたぱたと仰ぎ、俺は汗だくになりながら、帰り道を歩く。


 ミーンミーンと鳴くセミの声。

 一匹なら、ああ夏だなと思うが、三匹も四匹も同時に鳴くとやかましい。騒音だ。

 耳を塞ぎたくなるほど、うるさい。


 家にたどり着いて、玄関を開ける。

 誰もいない家に向かって俺は「ただいまー」と声をかけた。


 買ってきたものを冷蔵庫に入れて、汗だくになったTシャツを脱ぐ。

 エアコンを入れようと、リモコンに手を伸ばしてボタンを押したところで、インターホンが鳴った。

 みのりが来たのか。俺はモニターを通話状態にして「開いてるぞ」と声をかけた。


「ケイちゃんおはよ~! お隣さんから回覧板まわってきたから、持って来たよ~」

「おーサンキュー。そこに置いとい……」

「ひぃああああああああああ!? あ゙っ! いっったぁ!?」


 顔を真っ赤にしたみのりが、回覧板を落とした。

 それの角が足に直撃。足の甲を押さえて、うずくまっている。


「お前なにやってんだよ……大丈夫か?」

「うう……痛いぃ……」


 俺は冷蔵庫を開けて、保冷剤を取り出す。薄手のハンドタオルにそれを巻いて、みのりに差し出した。


「ケイちゃん、ありが──ひうぅっ!」

「さっきから、お前どうしたの?」

「も、もう! ケイちゃん、なんで裸なのぉ!? 早く服着てよぉ!」


 みのりは片手で顔を隠しつつ、もう片方の手で保冷剤を受け取っていた。

 俺はみのりにそう言われて、ようやく自分が半裸だったことに気づく。


「あー……もしかして、それで顔赤くしてたの?」

「うう……」

「やだー! もう! みのりさんのエッチ!」


 俺はキャッと胸を隠すように、腕をクロスさせる。

 その反応に、みのりは口をぱくぱくさせていた。


「も、もぉおおおおおー!! ケイちゃん!!」

「ははっ! 悪い悪い! ちょっと着替え取ってくるわ」


 二階の自室へ行き、着替えて、リビングに降りてくる。

 エアコンの効いた部屋で、俺は改めてみのりから回覧板を受け取るのだった。

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