第7.5話―魔力を持たざる者

―その後、王城、玉座の間にて。

ラグナは跪いたまま、静かに口を開いた。


「一つ、戦場にて気になったことが」

「申してみよ」

「戦場に1人、異常な者が。魔力が全く感じられないのです」

「魔力を隠している可能性はどうなのだ?」

「おそらく無いかと。私の得意魔法、『無』は秘匿された魔力もある程度看破できますれば。戦場全体を探知して視たのですが、不審に思える場所、そして人物は奴以外ありませんでした。逆に言えば、魔力をその1人だけ探知できなかったため、不気味に思ったのです」

「……なるほどな。報告助かる、下がって良いぞ」

「は。失礼致します」


そうしてラグナは、玉座の間から去っていった。

1人残ったカレンは、その顔に僅かな不安を滲ませていた。


「魔力を持たぬ者……。まさか………〝魔女狩りの一族〟……?だとしたら、少し、いや、かなりまずいかも知れないわね……」


その声は、1人しかいない玉座の間に、虚しく反響して消えていった。

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