第7話―魔王直属近衛騎士団長
「それで、“境界”の状況はどうなのですか?」
「現在ラグナに偵察に向かってもらっておる。もう少しすれば帰ってくるであろう。ほれ、噂をすればなんとやらだ」
その時、私の隣で蒼雷が煌めき、ズガァァーン!という轟音がした。目を一瞬覆い、開くと、そこには騎士とは少し言い難い、いわゆる袴のような装束を纏った凛とした、という印象を受ける女剣士が現れていた。
彼女はその場で跪き、口を開く。
「失礼致します。近衛騎士団長ラグナ、只今任務より帰還いたしました」
「ほう……?凄まじいな……」
「なんと……このお方が……」
〝千龍〟ラグナ。現魔王直属近衛騎士団長で、同じく
「うむ、ご苦労だった。“境界”の様子はどうだった?」
「軍の数は中々の物でした。その数ざっと10万と言ったところでしょう」
「10万か。それはまたあちらはかなり本気のようだな」
「ええ。ですが、個の力自体は大したことないかと。魔力量が人間にしては突出している者が6名ほどおりましたが、とはいえ他愛もないものでした」
「なるほどな。ここはレイティアとヴァイに任せたい。行けるか?」
この言葉に、姉上は今までに見たこともないような獰猛な笑みを見せた。
「もちろん、お任せを。本来ならば皆殺しにしたいところだが……それは陛下は望まないのだろう?」
「ああ。そうだな……8割だ。8割は許そう」
「「御意」」
久しぶりに本気が出せるからか、姉上は早く行きたくて仕方がないようだった。斯くいう私も、心が躍って仕方がなかった。
「では、頼んだぞ」
「はっ」
そうして私たちは、同時に転移魔法にて“境界”に跳んだ。
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