第27話 暗雲
わたしの一日は掃除から始まる。料理は
朝餉の後は洗濯や掃除の続きで、数が多い部屋の掃除は
昼餉を食べた後は
それが終われば
そんなわけで、今日は覚えたての髪型の練習をすることにした。
「
ふと気になって尋ねてみた。いまも
「しんじゅ?」
「いま触っているのが真珠です。いつも白真珠の耳飾りを選んでいるので、てっきり白真珠が好きなのかと思っていたんですけど」
「……これ、おいしそうだったから」
そう言いながら
「おいしそうって……もしかして、小さい卵だなんて思ってるわけじゃないですよね?」
冗談で言ったのに、
「ええと、それじゃあ首飾りに青い宝石のものを選んでいたのはどうしてですか?」
「青色はきれい。きれいなものは、こうして首に巻きつけるって知ってる」
「知ってるって……あ、掃除に来た侍女を見たってことですか」
わたしのつぶやきに「きれいな石、つけてたから」と
「……うん、なかなかよくできたかな。
「……きれい」
「ありがとうございます。
「……ありがとう」
返事はひと言だったものの、テーブルに置いた鏡の中の
(こういうのも書物の効果なのかなぁ)
わたしよりずっとたくさんの字を覚えた
そのことを一番に喜んでいるのは
(相変わらずへんた……変な人だとは思うけど、
保存食の話をしたときも、厳しい顔をしながら「調べてみましょう」と言っていた。奥深くに仕舞われている禁書を読む許可を得るため、皇帝陛下にお願いしている最中だとも聞いている。
そういえば朝餉と昼餉の煮卵は
(ってことで、そろそろ壺を抱えた
そう思いながら扉のほうを見ると、ちょうどトントンと戸を叩く音がした。相変わらず声をかけるまで入って来ない
「さぁ
「……どうぞ」
戸を叩く音がしたら返事をする、これも最近
(もしかして何かあったんじゃ……)
二人の雰囲気からそう思った。そして何かあるとしたら
「何かあったんですか?」
そう尋ねながら嫌な感じに鼓動が早まるのがわかった。お腹のあたりが気持ち悪くなるのを感じながら二人を見る。
「まだはっきりとしたことはわかりませんが……あまりよくない情報を得ました」
「よくないって」
「はっきりわかってからとも思ったのです。しかし、それでは遅いかもしれないと思い知らせに来たんですが……」
相変わらずよくない話題だとはっきり言おうとしない。迷うような表情の
「黄妃様の御子が……隠されていた御子の存在が明るみに出そうなのです」
「え?」
慌てて
「
「あの男が情報を掴んだということね」
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