第25話結婚の儀式

 自覚したというか、興奮したというか。

 イルマに手(口?)を出してしまった俺は押してはいけないスイッチを押してしまった。


 もうじき12才になろうとするイルマではあるが、まだまだ子供である。

 子供に手を出すのは人道に外れていると考える主義である。


 つまり俺はロリコンではない!

 欲情というか興奮したのも、いずれは手を出そうと考えているイルマ相手だからこそだ。


 その証拠に学校で同学年の婦女子を見ても、興奮など一切しない。

 イエス、俺はまだ正常だ。


 そんな話をいつものように繋がりながらベネットに相談する。


「う〜ん、色々と言いたいところはあるけれど、ロキシ村でも12才になったら女も手解きを受けるのだけど?」


 なんという罪深い世界であろうか。

 レベルをあげて冒険者で自由に遊び尽くすはずのゲーム世界が、それほど乱れた世界で良いのだろうか!


 こうしてベネットと交わる恩恵を受けているから、否定もできないけれど!


 12才から教育を始め、実技は成人してからが通例だけど、それより早く結婚する場合は前倒しにしたりするそうだ。


 これは前世でいうところの性教育であり、やましいアレコレなどではなく、正しい夫婦の在り方を学ぶための正しい教育なのだ。


「本当ならベテランの年長者にお願いする話だけど……」

「そうなったら、そいつを惨殺ざんさつしてしまうと思います」

 俺は自信満々にキリリと言い切る。


「そうよねぇ……、クーちゃんはそういうところガチガチの貞操感よねぇ……」


 えっ!? こういうのガチガチっていうの?

 ベネットは困ったように笑う。

 俺は頻繁にベネットをこんなふうに困らせてる気がしなくもない。


 俺はベネットと行為をしているのに、貞操感はガチガチらしい。

 文化と風習の違いで風邪ひきそうだ。


 ロキシ村が滅びた今となっては、手解きの候補は我が兄しかいなかったわけだが、我が兄であってもイルマに手を出そうとするなら迷わず始末することは断言できる。


 あれ? 俺ってちょっとヤンデレ?


 なお、王都など都市部にはそのような風習はなく、教育はともかく平民では手解きなどは行わない。


 結論からいえばベネット監督の元、俺の手でイルマの手解きが行われた。


「本当は村の青年団が審査をして夫婦としてやっていけるかを試す儀式なんだけどね?」

「クスハ、私頑張る。お母さん、よろしく」

 イルマも大概緩い……と思ったが。


 たとえば自分が童貞で大好きな年上の幼馴染お姉さんがいつか童貞もらってあげるからと言いつつ、他の人とヤリまくって自分に手を出してくれないとなったらなんとも言えない気持ちになるか、と納得した。


 一応、最後の一線は超えないが、超えないだけで手順のイロハは全て網羅した!

 村では結婚の儀式と同じらしい。


 あれ? 俺いつのまにかイルマと結婚しちゃったの?




 そんわけでというほど理解できているわけではないが、村といたとき同様にイルマが引っ付いて来ることになった。


 森の中に再度入り足慣らしを続けたところ、ルートからやや外れた場所で冒険者1人の遺体を見つけた。


 血溜まりはあれど血は散らばってはおらず、死因は魔物に殴られてここで力尽きたという感じか。


 死後しばらく経っている。

 ルートを少し外れただけで気づかないものだ。


 前世と同じ祈りの作法を遺体に捧げる。

 俺の隣でイルマも一緒に祈りを捧げる。


 俺が教えたのだが、イルマがそれをすると何やら神聖不可侵の神々しさが出てムラムラする。


 とりあえず遺体の前だがイルマの唇を奪っておいた。

「アウアウ……」

 真っ赤な顔でイルマが動揺する。

 うむ、関係が進んでもこのウブさが素晴らしい!


 すまぬ、力尽きた冒険者よ。俺は生きる!


 祈りを捧げた後に遺体から装備や使えそうな道具を拝借。


 ありがとう、見も知らぬ冒険者よ。君の死は無駄にはならん!

 この装備は俺たちが生きる糧になる。


 この金でイルマを高等学校に行かせられる。


 冒険者を示すタグ、名は掠れて見えないがよくあることだ。

 冒険者の階級が低い場合、タグは金属ではあるが混ぜ物が多い安物だ。


 それ以外に身元を確認するものはない。


 こういう職業につくのであれば遺書なり持っていて然るべきだが、そういう考えも浸透していないのか。


 冒険者に限らず、この世界の教育レベルの未熟さはそこにある。


 頭のイイヤツはとことん頭がいいので近づかないように注意しておこう。

 俺はそれ以外の中で賢く生きたいのだ。



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