第22話イルマとデート

 あの後、俺は養護教員ハルカさんに診断してもらい、無理な動きをしたせいで俺の身体がボロボロであることを説明。


「無理な動きは身体を痛めちゃうから気をつけなさいね?」

 ハルカさんの可愛いお姉さんぽいところが俺は好きだ!


 鼻の下を伸ばしているとイルマの絶対零度視線が復活していたけど。

 もう立派な必殺技ね……?


 イルマの師匠……ユーミルとの勝負を終わらせるにはあの方法しかなかったのだと。


「ユーミル先生はちょっと戦闘狂だし、興奮してやり過ぎなところがあるけど……むむむ」

 そう唸りながら不承不承、頷いた。


 稽古をつけてもらう交渉はまた後日しないといけないなと考えていた。


 しばらくして。

「ユーミル先生がクスハも連れてくるようにって」

 どうやら気に入られたらしく、無事に稽古をつけてもらうことになった。


 行ったら行ったで目を輝かせて、あの技はなんだとか、魔力まといがもうできるのか、なぜできるのか、イルマに教えたのはお前だな、とか質問攻めにあったわけだが。


 教えるのは心と身体が1つとなった相手だけだ、と誤魔化しておいた。

 ユーミルはぐぬぬと悔しがり、イルマはご機嫌になった。

 イルマにはまだ手を出してないけどね!


 それとネトルおっさんだが、王都の中央部を流れるナガト川で死体となって浮いていたそうだ。

 犯人は俺ではない。


 話によると、おっさんが母娘を寝取り崩壊させた家庭の母親が、おっさんがとある事故で怪我して弱っている隙をついて滅多刺しにしてナガト川に引っ張って捨てたそうだ。


 おっさんを刺した母親は不燃物投棄により罰金を払ったが、おっさん殺傷については証拠不十分でお咎めなしとなったそうだ。


 そこにどんな政治的なアレやこれやがあったかどうかは知らないが、滅多刺ししたと言うのに証拠不十分とかこれ如何に。


 おっさんが無駄に恨まれてたせいだ。

 うんうん、寝取りは死罪だね!


 ……人妻ベネットは俺の指南役だから。





 ご機嫌取りも兼ねてイルマと森でデートだ。

 森はデート場所だろうか、とか疑問に思うかもしれないが、男女2人で出掛ければ立派なデートである。


 ロキシ村では隙あらば森だろうと関係なくヤッてたからね、狩人のトマソンさんは魔性の人妻メリルとヤッててクマに襲われて死んじゃったけど。


 まあ、それはいいとして。

 どこの街でもそうだがまず地ならしというものを行う。


 自分の拠点となる街や森を歩いて周り、自らのテリトリーとするのだ。

 王都もイルマと一緒に北から順番に4日にかけて周った。


 意外と王都に住む人でも自分の街を知らないことも多い。

 自らで見て触れるだけで今後の暮らし方に大きな影響を及ぼすものだ。


 森もそうだ。

 採取や討伐を行うにもその場所が自分のテリトリーかどうかで安全性は大きく変わる。


 地ならしも行わずに、良さげに見える依頼だけを適当にこなそうとする冒険者の寿命は長くない。


 成長するための経験と命を危険にさらすだけの経験はまったく違うのだ。


 もっとも、村から出てきてろくな勉強もしてない冒険者などはそんなことも知らないことは非常に多く、村出身者が1年後に冒険者をしている割合は1割程度だそうだ。


 実態を知れば当たり前のことだが、その当たり前であることを認識するにも勉強が必要なのだ。


 うん、前世の自分に言ってやりたい。


 イルマは12才になっていないので冒険者登録はできない。

 しかし森に入るのは自己責任である。


 これが管理された遺跡やダンジョンと呼ばれる洞窟であれば、冒険者登録していない者は入れない。


 森での活動は冒険者であるソランよりもイルマと一緒の方が動きやすい。

 ロキシ村での俺の相棒は常にイルマだったのだ。


 イルマは幼馴染であり親友でもあった。


 その親友を年頃になったら、性的にいただくのだと考えると興奮するのは俺だけだろうか?

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