第19話剣術の授業

「剣の先生を紹介してもらっていいか?」

 俺はイルマにそう言った。

「いいけど……手を出しちゃダメだからね?」


 手を出すというのは、暴力的な意味ではなく性的な意味でだ。

 信用がないのは仕方がないがそもそもの話、向こうにその気はないだろ。


 12才に手を出す先生はいかがなものか。

 村社会では12才の嫁とかはいるけど、それとは立場が違う。

 先生は手を出さないことも含めての職業だと俺は思う。


 女教師に手を出されたら俺は喜ぶけど。


 学校には算学などの座学の他に剣術などの体育がある。

 なぜ剣術かといえば、魔法との親和性が1番高いのが剣術だからにつきる。


 イルマが剣聖として見出されるならば、時期的にみてこの学校での剣術の授業だろうと考えたのだ。


 剣術なども含む武術は一定の型がある。

 無意識で身体が動くようにその型を何度も身体に教え込むのだ。


 身体に教えるってなんだか卑猥ひわいね。

 そんなこと言ってると全武術家にボコボコにされそうだけど。


 その教え込む過程で間違った型を覚えてしまうと、悪いクセがついてしまうことがある。

 それが後々、強くなるのに障害になってしまうことがある。


 子供のうちに筋肉をつけ過ぎて背が伸びづらくなるのと同じ感じ?

 ちょっと違うか。


 とにかくイルマを剣聖に導いた師匠がいるはずなのだ。

 師匠も意味もなく、何かのジョブやスキルがポンっと湧き出るわけじゃないのだ!


 ゲーム世界だからあり得ないとは言い切れないわけだが。


 なお、イルマの剣術の型はゲームで頭に入っているので、基礎の型は何度も覚えさせている。


 なので、11才時点でイルマの師匠がイルマを見出すのにさしたる苦労はないはずだ。


 イルマの師匠はさぞや驚くことだろう、教えてないはずの型を修得している存在に。

 当然、誰から教えてもらったのか気になるはずだ。


 それで俺に行き着く。

 俺はいまは亡き父(どの父かは不明)に教わったと話そう。

 父(結局、どれが父だったんだ?)亡き今となっては真実は俺のみぞ知る、である。


 イルマの剣の師匠に何を教えてもらいたいかといえば、至って普通に剣術の指南である。


 ゲームにて全技を使えるとしても、そもそも身体の動かし方を知らない。

 無理に技を使い続ければ、それだけで俺の身体はぼろぼろになるだろう。


 剣術技を使ったら、足を捻ったり、腰を痛めたりとか。

 いや、わりとマジで致命傷よ?


 なので、真剣に優れた師匠に基礎訓練をつけてもらいたいのだ。


 あと学校の備品とか盗みてぇなぁ、模擬剣でも無いよりマシだ。


 しっかし、俺ってどうにも地味だよなぁ。

 そりゃチートで最強です、俺ツェエエエエエエエエエエ(心の叫び)とか言ってるヤツらと比べちゃいけないが。


 俺が転生したんだから、そいつらも転生して自由に過ごしてんだろうなぁー。

 ちくしょーイイなぁ、楽して生きてぇえええええええ!!!(悲痛な叫び)


 そういうことで学年は違うが、剣術の授業に混ぜてもらった。


 広場で子供の授業を見学する親みたいに後ろで腕組みして頷く役割だ……と言いたいが、各学年の人数も一定ではない。


 金がかかる以上、学校に来ない子もいればすでに働いていてそんな時間のない子もいる。

 なので学年問わず合同で授業を行うことはよくある。


 しかし剣術の授業を一緒に参加したことはないので、イルマの剣術の先生を初めて見るのだが……。


「ぐへへ、イルマよ。持ち手はこうではない、どれ腰を支えてやろう」

 小太りでイルマの5倍はありそうな身体でタラコ唇のおっさん。


 そいつが見てわかるほどにすけべな顔でイルマの後ろに回り込み、手を掴み腰を突き出して腰と腰を密着しようとしている。

 それを嫌そうに腰を接触させないように身体を逸らすイルマ。


 イルマの先生は……おっさんでした。

 イルマよ、俺はおっさんには手を出さんぞ?


「コラッ! 先生とちゃんと引っ付きなさい!」

 そう言ってイルマの手を拘束したまま、おっさんはなおも腰を突き出す。

 もはや腰だけがあからさまに前に突き出ているのにも構わず、イルマの尻を追う。


 その様子を他の女の子だけではなく男の子も怯えた表情で見守っている。

 被害に遭っているのは男女問わずらしい。


 うん、こいつはないな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る