第18話ヘイト管理
「クーちゃんはヘイト管理は大丈夫?」
ベネットとの定期交◯会中、要するにヤッてる最中。
彼女は心配するように俺に尋ねてきた。
ヘイト管理とはまた強烈な言葉を言ってきたが、おそらくイルマからなにか聞いたんだろう。
母娘仲が良いよね?
やっぱりベネットと肉体関係あることもイルマ知ってたりするの?
「まだヘイト管理が必要なことはないと思うけど?」
いずれ必要にはなるかもしれない。
ソランとは遊びだ!(クズ)
「クーちゃんは……んっ、モテるでしょうからねー」
「モテないよ」
なんというか、こう交わりながら話すことなのだろうか。
まあ、ベネットとはそうなのだからそれで良い。
「顔も悪くなくて、身体も強くて、お金も稼げるから気づかれたら女がゴブリンのように寄ってくるわよ」
他の女をゴブリン扱いって……。
物の例えなんだけど、表現がひどい。
コバンザメのように集まると同じ意味なんだろうけど。
この世界の物知りベネットでも海辺で暮らさない限り、コバンザメの存在も知ることはないだろう
「言うほど稼げてないよ」
「ふふふ、12才で女を買う稼ぎがあるほうがおかしいのよ」
その買われてる女であるベネットはおかしそうに笑う。
「もうちょっと渡したいんだけどね……」
「十分以上に助かっているわ……色々、ね?」
どうにか薬草などの採取で稼いではいるが、ベネットに渡す金も多くはない。
冒険者稼業もナイフしか武器がないのでは始まらない。
武器防具や道具をどう揃えるかが今の課題だ。
「女を囲うなということではないのよ? 囲うならそれに対するフォローと人間関係のバランスを『常に』保つことが大切なのよ」
そう言って俺の目から何かを読み取ろうとジーッと見つめてくる。
ベネットにこの目で見つめられると俺は隠し事ができないのだと学んだ。
情報収集でその手の方々が活躍するのは必然なのだろう。
「……イルマのことでも思ったけどクーちゃんはそういうことを知らなかったみたいね。それもそっか。教えてあげる」
しょうがない子ね、と優しく微笑みかけられ、俺はベネットにすっきりさせられる。
そういう意味ではないはずだが、繋がりながらの『教えてあげる』はヤバいと思います!
それから改めて俺とベネットは膝を付き合わせて座る。
教師ベネットは指を立てて俺に男と女の違いについて教えてくれる。
さながら説教される子供の図である。
「色々な女の人に手を出したくなるのは男の甲斐性とか言う人もいますが、まずなによりそれに対する生活の甲斐性があって初めて言えることです」
つまり金よこせと。
女を養いもしないのに、手を出す男をクズと呼び、そんな男に引っかかる時点で女もバカなのだという。
それでも時には引っかかるものらしい。
これは男も女も一緒。
ハーレムというものはシステムによって保護されており、男が女に危害を加えられないように保護している。
では、そのヘイトはどこに行くかといえば当然、ハーレム内で内部爆発する。
なので、寵愛云々で血生臭いことが起こるのは必然だ。
ただし、その内部爆発を上手に操作できる敏腕の正妻がいれば話は変わるが、それは逸材も逸材、滅多にいない。
それ以外の方法では姉妹を娶るとか、元からの友人同士を娶る、もしくは序列がきっちりしていて己の分をわきまえる人であるかである。
つまり女同士での関係を上手に構築できる必要があり、娶る段階で選別していなければならない。
だから恋や愛『だけ』で選ぶと大変なことになってしまうのだ。
ちなみにヘイトは膨らんでいくものなので、システムで保護されていないハーレムはヘイトが破裂し、男が刺されたり惨殺事件の引き金になったりするのだが自業自得である。
「私は指南役だからうちの子を嫁にするときは問題は発生しないわ。だけどクーちゃんがさらに女を増やすなら、細心の注意と毎日のヘイト管理を覚えないといけないのよ」
ヘイト管理とかハーレム物でやってるの見たことないなぁー、目を逸らしていただけかなー、偶然問題がないだけか。
ベネットも嫁の母だから問題だと断っていたはずだけど、と思っていたら考えを読まれた。
「グレーだけど消去法で仕方がないことだから」
たしかに俺とベネットの関係は互いの生活のために必然で仕方がない……とは思う。
「ベネットが好きで子供も作らせたいぐらいだけどダメなの?」
ベネットは苦笑する。
この世界の平均でみればベネットはもう子供を産む年ではない。
「ベッドの中ではどんどん言っていいわ。でも外ではダメね。そもそも指南役のことも暗黙の了解にしておくべきことだもの」
そりゃそうか。
指南というには回数が頻繁だけど。
そのあたりは俺の若い身体の都合のせいだが、ベネットも楽しんでくれているので良かった。
ほんとに若い身体は困ったもんだ。
でも指南役という関係であるなら、もしや俺のマミーにも気づかれているのだろうか。
ロキシ村でも指南云々は親が手配したりするものだったから。
俺がそう言うと、ベネットは困った笑みを浮かべてため息を吐いた。
「……クーちゃん。初めからバレてるわよ。隣同士で壁も薄いんだから」
そういえばそうだね〜、それに頻繁にお隣に行って、アノ声が聞こえたら1発だよねー。
「それは指南役の私が気をつけることだから、クーちゃんは気にしなくてもいいことだけどね?」
至れり尽くせりである。
ああ、なるほど、そういう配慮とかも学ぶからこその指南役なのか。
乱交文化って、それはそれで意味があったんだなぁー、快楽に溺れてるだけだと思ってた。
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