第15話冒険者稼業
冒険者稼業を始めた。
最初の仲間は自分を劣等生と呼ぶソランを誘った。
「わ、私、がんばります」
16歳になる彼女は魔術師学校の生徒だが、そもそも魔術師学校は高等学校の一つなので、そこにいる時点で平民ではあってもエリートなのだ。
それを指摘してあげて誉め殺しにしてあげる。
冒険後に美味しく抱くためである。
性欲としてはベネットだけでも十分なのだが、おつまみはしたいのだ。
あくまで仲良くなったら、である。
金をかけてまでやろうとは思わない。
前世感覚とゲーム世界感覚での差異とでも言おうか。
ぽっと出の遊び相手よりも、金をかける愛人の方がタダで抱くよりも大事にしていたりする。
商売の場合は割り切りなのでまた別だ。
うん、我ながらクズだ。
当然、イルマは別枠だ。
ちょっと収穫に時間をかけ過ぎた。
冒険をするのに装備はどうしても軽装だ。
一式を揃える金がないのだ。
いまある道具は、ロープと編みかご、ボロ切れ布、メモ帳とペンに水袋と油袋とナイフ。
それに保存食の乾パンと塩たっぷり干し肉、貴重なビタミン干しナツメ。
油はホブゴブリンのときのように切り札になるから必須だ。
背負いナップサックが欲しいが、1回の採取でその金を稼ぐのは難しい。
ナイフも特注ナイフはロキシ村防衛戦のときにダメになった。
命があるだけマシだけど、命を繋ぐには金がいる。
武器も防具も何もないのに冒険者とは言い難い。
装備を揃えるのに初心者は借金をしたりするが、それは終わらない借金地獄の始まりで初手で詰み確定だ。
無理をしても自前で金を用意すべきだ。
多くの冒険者稼業は夢の大きさに反比例して地味なんだ。
チートアイテムよこせ!!!(切実)
ベネットにも身体の関係を持った分だけ金を渡さないといけない。
待ってはくれるだろうが、俺の意地みたいなものだ。
受付嬢に採取する森のことについては、とことん聞いた。
あまりにしつこかったから好意度は大きく下がっただろうけど仕方ない。
全てを得ることはできないから、狙う相手は絞らなければならない。
ハーレムチートよこせ、楽して金儲けさせろ!(とっても切実)
言っておくがマヨネーズは味覚が合わないとただの酸味だし、すぐ腐るし、材料も集まらん!
まずなにより材料費がない!!
金は高いところに登る。
まず金よこせ!!(もはや悲痛な叫び)
各ギルドで得意なジャンルは違う。
俺が登録したギルドAは初心者に適した依頼が多く、ソランがバイトしていたギルドBは魔法素材を、夜のお店的なギルドCは討伐系に強い。
冒険に関わる図鑑や書物は当然、非公開。
情報はギルド員から口頭で聞くのみである。
これで各ギルドの情報を守っているのだ。
協力はし合っていても、各ギルドに縄張りができる。
そのため、特定ギルドで功績をあげればその分優遇もしてくれる。
今回、ソランはひょいひょいと俺の誘いに乗ったが、これも俺がギルドBからギルドAに引っ張って来たことになるので多少の点数稼ぎにはなるはずだ。
ただソランはギルドBのバイトでミスばかりで採取の仕事さえロクに出来なかったらしく、ギルドBからしてもソランを引き抜かれても痛くも痒くもなさそうだ。
ソランは採取について野草の違いがわかっていなかったらしく、採取に入った森の中で俺が指示してやると喜んで採取していた。
薬草については傷薬の原料は区別がつかないらしいが、反対に魔力のある薬草は判断がついた。
おそらく魔力を見るのに特化しているせいで、一般の薬草の判断がつけられなかったのだろう。
対する俺は村出身で森にもよく入っていた王都の人間よりもよっぽど野草や薬草について詳しい。
ふと音と風で気配を感じたので、ソランの口を塞いで草むらに引きづり込む。
襲われると思ったのか、ソランは涙目になったが、俺がある方向を指差すとピタッと固まった。
森の奥で大きめなゴブリン複数がゆっくりと横切って行く。
全部がホブゴブリンか、それ以上の大きさだ。
王都の街道付近は定期的に騎士団が周り魔物を追い払うが、森の奥にはいくらでも魔物がいる。
それに集団で襲われてはベテランでも命の危険に晒される。
腕の中のソランは討伐どころか採取もロクにできないためか、魔物に怯えてしまい、いましも恐怖で叫び出しそうになっていた。
僅かに魔物がこちらを向いた。
「ヒッ……んっぐ」
悲鳴をあげかけたソランの口を口で塞いだ。
ついでにモゴモゴと口の中も味わっておいた。
しばらくそうしていると、魔物たちは森のさらに奥に消えて行った。
口を離すとソランはトロンとした目で俺を見つめていたので、俺たちは切り上げて王都の街に戻り……適当な宿に2人で入った。
宿代は安くはなかったが必要経費だ。
ヤッた後に年齢をバラした。
「えっ!? 成人してなかったんですか!」
世間体が悪い程度、それもソランの側の話だ。
手を出したのは俺の方だけど、俺の方にリスクは一切ない。
汗で色っぽくなった髪をいじりながら、俺を目だけで非難する。
それがどうにも可愛くそそるが……。
じっと見つめてくるソランの翡翠の目を見て、ようやく俺はあることに気づく。
実はヤッてる最中にすでに気づいていたが、もう止まれないところまで来ていたので、そのまま続けた。
ゲーム開始の3年後の話だが、ソランはイルマと同じメインヒロインの1人でお色気魔法使いであったのだ。
メインヒロインとヤッチャッタよ。
うん、知らん顔で逃げよう。
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