第6話ゴブリン退治
グレッグくんのあとについて飛び出したアル君がヘビに噛まれている。
やべ、毒ヘビかな。
ちなみにイー君はゆるりと登場した残忍なゴブリンに頭を掴んで振り回されている。
あー、もうダメだろうなぁ。
ゴブリンの体格は子供サイズ、とはいっても10〜12才程度のサイズなので俺たちよりは一回りぐらいでかい。
ゲームでもレベル1なら死闘を繰り広げる。
俺はいまは体感レベル1ぐらい。
そもそも身体がまだ出来上がっていない。
ゴブリンは俺たちを獲物と見たのか、残忍な笑みで持ってた木の棍棒をよだれを垂らしながら舐める。
言っておくが、ゴブリンは人はあまり食わない。
それでも子供ぐらいなら、空腹出会った場合は食べられたりもするらしいが、襲うのは主に農作物と家畜だ。
今回のゴブリンさんは空腹なのかもしれない。
「ひぃぃいいいいい!」
腰砕けになり、黄色液体をズボンに染み込ませるグレッグ兄。
アルは足を押さえて転げ回っている。
うん、ピンチだね。
この段階で俺が取るべき行動は逃げオンリーだ。
しかし、そこに村政治が働く。
真実はともかく村長の息子はこいつただ1人。
こうなることを予測して根回しを行い、俺が真実の次代村長として名乗りをあげる方法もあった。
しかし、あと5〜6年もしたら滅びる村で村長になんてなりたくないというか、俺が適齢期になったら頃には村がないじゃん。
俺は焼け野原とかした村跡で次期村長宣言をあげている自分を想像して遠い目になる。
しかも、こいつを見捨てたとき、果たしてその責任は誰にあるのかが問われてしまう。
そうなると生き残った唯一の男である俺に罪がなすりつけられるのだ。
イルマは美童だから、嫁にしたいオッサンたち沢山いるから無事だろうな。
むしろ6歳にして嫁行きが決まってしまうか?
そんなことを考えつつも、ゴブリンさんは待ってくれない!
待つのだゴブリン! いま考えているから!
それでも待たない先走り童貞ゴブリン。
「ファイアランス」
「アギャー!?」
面倒だから炎の魔法をぶちかまし、顔に火をぶつけられ慌てふためくゴブリンの首をザクッとナイフ刃渡り50cmで切り裂く。
ゴブリンは散った。
魔法を使えば体感2〜3レベルなので、これぐらいならなんとかなるんだよね。
冒険者の依頼でもないから、ゴブリン倒しても金にならんのだよな。
捨てるところしかないゴブリン、まさにゴミである。
それでも胸の部分にナイフを突き立てエグリエグリ、手が血まみれになりながら小さな小さな魔石をゲットする。
これ一つでジャガイモ一個と交換できるかどうか。
子供でも微妙な顔をする儲け。
ゴミめ!
さて、あとは壮絶な戦死を遂げた(ということにしておく)イー君の収穫した野草を颯爽と俺の籠に入れ替えて、さっさとこの場を去ることにするだけだ。
振り返った俺の視界の先には表情を固くしたイルマと、怯え過ぎて口から泡を吹くグレッグくんと別の意味で泡を吹くアル君。
それにヤル気に満ち溢れたゴブリン。
さっきのゴブリンの軽く3倍の大きさ。
ホブゴブリンというやつだな、うん。
ゲームでは確かレベル5クラスの序盤の強敵だ。
……うん、大ピンチ。
もうグレッグくん殺害(?)事件になるかどうかとか気にしている余裕はない。
ただ一点、生き残れるかどうか、それだけだ!
俺はヒロインイルマのエピソードの中で、かつて愛した幼馴染は私を守って死んだの、とか想い出になってやる気はない!!
生きるのよ、クスハ!!
俺はイルマの手を引き走り出した。
グレッグくんとアル君は強く生きろよ! ホブゴブリンに殺されるその瞬間まで!!
しかし、ホブゴブリンは回り込んできた!
逃げられない!
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