ゆっくり答え合わせ

 百合猫は、めっちゃオレと兄貴を見てまたオレと兄貴をみたら静かに目をつぶった。

 

 

 そして、また目を開けてまたそっと目をつぶった。

 

 

 おいおい…百合猫…

 

 それ、あと何回するんだよ…と呆れていると兄貴が

「百合ちゃん、どうした?」

 と質問してくれた。

 

 

 そしたら百合猫が、

「実紀人って…二人いたんだっけね。分身とかできて羨ましいんだけど‼︎わたしも分身の術つかいたい‼︎」

 と、現実逃避しだした。

 

 …

 

 兄貴は、一瞬何⁇みたいな感じだったけどすぐに理解して

「友希人痩せたらオレに似てるよね。洋服もオレのお下がり着てるからなおさらね。」

 と、爽やかに笑ってなにやら閃いたようだ。

 

 

「百合ちゃんもしかして、今までオレと友希人間違えてた?だから最近おかしなこと言ってたのか!謎が解けてよかったわ。じゃ、オレデートあるから失礼〜」

 とあっという間に去っていきました。

 

 

 …

 

 さてさて…

 

 とり残されたオレたちは、どうしたもんかと無言になったよね。

 

 そして今までのことを脳内で一生懸命たぐりよせて答え合わせしたよね。

 

 えっとー…まずオレが兄貴に彼女いるよってやんわり言ったとき、百合猫泣いたよね…?

 

 それって…百合猫は、オレに彼女ができたと思ったってことなんだよね…?

 

 …

 百合猫…

 

 泣いたんだ?百合猫…オレに彼女いると思って…泣いたんだ⁉︎

 

 

 てことは…百合猫は…オレのこと…

 

 

 ゆっくりと百合猫をみると百合猫は、気まずそうにオレをみてパッと目を逸らした。

 

 

 そして目を合わせないまま、

「めっちゃ痩せたね…。髪型も違うし…そんな友希人は、はじめましてだよ。」

 といい、ちらりとオレを見た。

 

 

 そしてオレも、

「あのさ、百合猫って…もしかして…」

 と言いかけたところでオレは大事なことを思い出した。

 

 

「そういえば百合猫、彼氏に二股されたのはどうなった?」

 と詰め寄った。

 

 そしたら百合猫は、

「それは…実紀人の彼女が浮気してると勝手に思って…だから、わたしは…彼氏とかいなくて…てか、わたしずっと友希人を実紀人と間違えてたから…だから…だからさ……ってか…え?じゃあ、友希人の失恋って何⁉︎どうして二回も失恋したの?だれかに告白したってこと?」

 と一生懸命聞いてきた。

 

 

 百合猫…

 

 

 百合猫は、こんなに美人でしっかりしてそうなのに、ほんとうっかり屋さんでおっちょこちょいだ。

 

 まったくかわいいやつめ。

 

 まぁ、オレもかなりのおっちょこちょいなんですけどね。

 

 

「オレは…あなたにフラれました。」

 と、いいチラリと百合猫をみた。

 

 

 すると百合猫は、

「えっ⁉︎わたしが⁉︎あなたってわたし⁉︎」

 と、自分を指差して動揺していた。

 

「うん」

 

 オレがうなずくと百合猫は、

「ないよ‼︎そんなことあるわけないじゃない‼︎」

 と言った後、ハッとした顔をした。

 

 そして…恐る恐る

「もしかして…わたしが友希人を実紀人と勘違いしてた時のあの慰めって…」

「うん。それ」

 

 

 …

 

 オレたちは、お互い直視できずにチラチラと目を合わせては、目を逸らした。

 

 そしてオレは思った。

 

 

 まさか百合猫がオレのこと好きなんてびっくりだなと。

 

 

 だって、百合猫はオレのどこを好きになったというのだろう…?

 

 おデブだったし…頼りなくてボクとか言ってた男なのに…。

 

 百合猫は、今ならまだしも…

 

 以前のオレとは不釣り合いだったはずなのだが…。

 

 

 改めてオレは百合猫をじっとみた。

 

 

 なんで…なんでこんなに美人な百合猫がオレなんかを?と。

 

 

 そしたら百合猫が、オレを見て

「そんなにじっと見ないでよ…恥ずかしいじゃないの」

 なんて言い出したんです‼︎

 

 

 百合猫‼︎

 

 百合猫は、オレなんかに見つめられて恥ずかしいって思ってくれるんだ⁉︎と、オレは嬉しくなった。

 

 

 そんな有頂天なオレは、とあることに気づいたのでありました。

 

 

 

 

 続く。

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