まさかの…
百合猫は兄貴に彼女がいるってわかっても、うちに来る。
兄貴から勉強を教わっているし、猫大好きだし…。
まぁ、百合猫はまだ兄貴を…好きなんだろう…。
そりゃ百合猫は、オレが勝手に人の要らん情報を流したせいでお怒りなのかもしれないけど…
でも、そんなに怒らなくても…ね…。
やっぱり本人から直接聞きたかったのかな…?
しかも直接は怒らないで、いつも携帯を使って怒ってくるという、なんとも不思議な感じ…というか、百合猫は優しいからオレに直接は怒りにくい…のかな⁇
まぁでも百合猫を、そんなに恐れることもあるまい。
だって、直接なら百合猫も普通だし…。
てなわけで、本日も百合猫がリビングで猫と戯れていたので、百合猫にジュースの差し入れをいたしました。
兄貴みたいな口調で、そして兄貴からのお下がりの洋服を着て、
「お疲れー。オレ特製ジュースをどうぞー」
とテーブルに置いた。
すると百合猫が
「サンキュー。てか、オレ特製って…ただコップに汲んだだけじゃん」
と笑った。
おぉ、やっぱり百合猫はご立腹ではない‼︎
ってか…百合猫目が赤くね?
オレは百合猫の目をジーッと見た。
…
そしたら百合猫もオレをジーッと見たので…なんだか時が止まった感じになり、終始オレたちは見つめ合うのでございました。
すると百合猫の顔が真っ赤になり、
「な、何⁉︎急に見つめてくるからなんか…なんか…てか、よくみると…ゆ…ゆき…ううん!なんでもないから!もうあんなやつなんでもないんだからっ‼︎」
と、百合猫はジュースをごくごく流し込んだ。
挙動不審な百合猫だ。
でも、さっきあんなやつって言ってなかった?
兄貴のことかな…。
やっぱり百合猫は、兄貴を好きだけど諦めなきゃって色々葛藤してるんだろうなーと思う。
なのでオレは無言で百合猫の頭をポンとして兄貴がいつもしてるみたいな真似事をして部屋に戻った。
やっぱり会話は…普通なんだよなー…。
でも、もうオレの部屋には来ない百合猫。
…
そうだよなぁ。
告白断った男の部屋になんか入りたくないよなぁ…。
そもそもオレフラれたのに頭ポンとかしてキモかったよな。
百合猫はきっと…
弟じゃなくて兄から好かれたいんです‼︎触らないで‼︎って思ってんだろうなぁ…
はぁ…
…
そんなもどかしい毎日を過ごしていた。
そんなある日、百合猫が塾に通い始めたと風の噂的な感じで聞いた。
…
なんで?
やっぱり百合猫…辛かったのかな…。
距離を置くのかな…?
兄貴にそれとなく理由を聞いてみることにした。
そしたら…まさかの…百合猫からじゃなくて兄貴からの申し出だったらしい。
そろそろ兄貴は、就職活動で忙しくなるからって。あと、彼女と同棲するからお金貯めなきゃっていう理由だった。
そうか…
百合猫大丈夫かな…
同棲って…
兄貴が就活の話だけしていてくれることを願った。
百合猫を心配しつつバイトへと向かった。
そしてアイスクリームをせっせと売るオレ。
で、次のお客様にアイスを提供と思ったら…次のお客さんがまさかの百合猫でした。
あ…
オレに気づいた百合猫は、
「ここでバイトしてるんだね。おつかれー」
と優しい言葉をかけてくれた。
「あー、うん。ありがとう」
とお礼した。
そしたら百合猫が、
「この前の貸し、アイスでもいいよ〜」
と言い出した。
この前の貸し…とは⁈
クッション拾ってもらったやつ⁇かな?
わからなかったけど、とりあえず
「じゃあ、今度オレのおすすめアイスパック持ってくよ」
と伝えたら、百合猫が嬉しそうに
「やった!ありがと」
と笑った。
そして
「ここのアイス美味しいよね!また来るよ」
と手をヒラヒラして帰って行った。
か、かわいいよ…百合猫。
そんなかわいい百合猫には、どんだけでもアイス奢っても苦じゃないわ、と思うオレなのでありました。
百合猫は、チョコ系が大好きだから後日チョコアイス多めで持参した。
百合猫は、嬉しそうに
「わーい‼︎」
と喜んで早速アイスを頬張るのでありました。
「あ、オレちょっとトイレ行ってくるわ」
「いってらー」
トイレに行ったついでに、猫のトイレも汚れていたから軽く掃除しておいた。
そしてリビングに戻ると百合猫がもういなくて、そのかわり兄貴がいた。
「百合猫は?」
と兄貴に聞くと、
「あー、アイスごちそうさまー」
って言って帰ったよ。
とのことだった。
「そうか…」
もう少し一緒に話したかったのにな…。
残念。
ま、またすぐ来るだろうって思っておりました…。
しかし、最近来ないんですよ…。
バイトが忙しいとか彼氏がどうとかってね…。
えっ⁉︎
か、かれしってなに⁉︎
ひらがな三文字のかれし?
だれですか⁇
…
続く。
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