第3話 AM3:00~
:◆ベッドで寝そべる二人
:◆SE 微かに聞こえるテレビの音声
「こんなド深夜にテレビでやってる映画なんて誰が観んの? って昔は思ってたけど」
「寝れない時のBGMとしていいんだよね」
「大学の時も夜更かしのお供によく点けてたわー」
「そういえばさ、高校の時あんたと一緒に映画観に行ったことあるよね?」
「でも、あの時なんか揉めなかった?」
「いや、揉めたって。覚えてるもん」
「どっちの映画観るっつって」
「だって。あんたってよりによってお涙頂戴の恋愛映画の方を観るつもりでいたでしょ? なんか病気で死んじゃうやつ」
「くくく……典型的なデート映画選んでんの!」
「そういえば、あの時のあんたの服も、お友達と出かけるために選んだってわりには気合入った格好だったし?」
「興味ないですって顔してるわりには、しっかりデートを意識してあの場に来たってことよね?」
「なに? あたしの方が意識しなさすぎだって言いたいの?」
「B級スプラッタホラー映画選んだから?」
「あのね、デートに不慣れなあんたに合わせてあげたわけよ」
「あんた、ああいうの好きだと思って」
「ホント、察しが悪いんだから」
「は?」
「……初めてよ」※小声
「初めてだった、って言ってるの」※小声
「あんたと出かけるまで、男子と二人きりで出かけたことなかったし」※恥ずかしそうに
「7年前のことでニヤニヤされても困るのよねー」
「ね、でもさ」
「洋館に閉じ込められた若者グループの中に森林伐採のスペシャリストとかいう変な立ち位置の人がいて、迫りくるゾンビをチェンソーで血祭りに上げていくクライマックス」
「カタルシス満載で爽快感あったよね?」
:◆SE ベッドの衣擦れの音
「ふふ」
「やっぱ、好きなんじゃん?」※囁き
「……うん」
「あたしも」
「あの時は、デートなんかじゃないしって思ってたけど……どんなデートより、楽しかったかも」
「だから、ニヤニヤすんなってば」
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