第2話 AM2:00~
:◆ベッドの上でトランプ中の二人
「えっ、8切りからの革命?」
「は? なんで階段なんかやらかしてんの!?」
「そ、そこで3出してくる!?」
「……ちっ。今回はあたしの負けね。ホント、あんたって変なところで運がいいんだから」
「あー、はいはい、どうせ3連敗よ」
:◆SE カードをシャッフルする和紗
「そうやって、どうでもいいところで運を使ってたら、あとでどうなっても知らないんだから」
「は?」
「……あ、あたしと再会したことなんて、そんなたいした運じゃないでしょ!」※照れ声
「ったく。どこでそんなテクニック覚えたのよ……」
「あーあー、いらないから。何も言わなくていいから。大学行ってから今になるまでの女遊びの経験なんて聞きたくないわよ」
「……え? 大学時代はサークルの男子とばっか遊んでた?」
「ふふっ、あんたって高校の時からホントやってること変わらないんだから」
「べ、別に嬉しそうになんてしてないでしょ?」
「あー、あんたが変なこと言うからなんか暑くなってきちゃった」
「ていうか、こんなアナログなゲームで遊ぶなんていつぶり?」
「修学旅行の時以来? あの時も、あんたとこうして遊んだよね?」
「そうそう。うちらの部屋まで来てくれて」
「言ってた言ってた! じゃんけんで負けた一人に囮役になってもらって、見回りの先生の注意を引いてる間に突破したって!」※笑いながら
「マジでバカ!」※笑いながら
「でもおかげで、賑やかに楽しめたかな。ホテルに入っちゃったらほぼ男女別のタイムスケジュールだしさ、あんたがいないと退屈しそうだったから」
「……え? そうだっけ? あの時ってもう結構話す仲じゃなかったっけ?」
「マジで? 修学旅行きっかけだった?」
「あー、そっか。高2で同じクラスになって。しばらくはお互い話してなかったのか。そういえば、修学旅行前のあんたって男子とばっか一緒にいたもんね」
「ヤバい……7年前の記憶すら曖昧になってる……」
「誰がおばあちゃんよ」
「ていうか、どうせあんたもたいした記憶力じゃないでしょ」
「ん? なに胸張ってんの?」
「……」
「はーっ……」※クソでかため息
「……あのね、初めてお世話になった女優のこと覚えてたって、記憶力の自慢になんかならないから!」
「なによ?」
「あたしに似てたところで嬉しくないんだけど?」
「胸の大きさはお前の勝ちとかやかましいのよ」
「親指立てんな!」
:◆SE ぺしんとリスナーの手を弾く音
「んもう! ド深夜にツッコミ疲れさせないでくれる?」
「でもさ、修学旅行のあとってなんかカップル増えなかった?」
「そうそ。うちらのクラスだけでも、4組くらいできてたでしょ?」
「みんな雰囲気に流されやすいんだなーって思ったよ」
「うちらは……」
「付き合ってはなかったけどさ」
「なんか、一緒にいる率は増えたよね?」
「ふふ、話してることは全然恋人らしくなかったけどね」
「恋人じゃないから当然といえば当然なんだけど」
「でも、楽しかったのかも」
「今思い出しても、思い出し笑いしちゃうくらいだから」
「そうよ。あんたのことは、あたしの高校生活の大事な思い出」
「同性の友達より、ちょっと好きかもしれなかった年上の男子より、あんたとの思い出の方がずっとずっとあたしの中でしっかり残ってるんだから」
「だから、夜更かししてるこの時間が、すっごく楽しい」
「修学旅行のやり直しみたい」
「今流行りのリメイクってやつ?」
「そうね。あの頃と違って二人しかいないけど」
「……でも、あたしにはそれでも十分かも」※小声で
「ほらほら、続き、しよ? 次は負けないからね」※照れ隠しするように
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