第十三死 森からの脱出②
僕達は現在、葛葉さんの案内のもと森の出口を目指しているのだが…
「よく道なんて覚えてられるね。」
スタスタとスムーズに歩く葛葉さんを不思議に思ったのか、道すがら小栖立さんはそんなことを聞いた。
「ふふん!私記憶力はいいんですよ!」
「だからこんなにもスムーズに歩けるんですね。」
「そういうことです!…あ!こっちですよ!」
葛葉さんが指を差し、進んでいく。ここまでこれたのは一瞬に感じるかもしれないが、実際僕達はここに来るまで3日を要している。
その際、色々なことがあったのだけど…それは後で説明するとしよう。
そうしてしばらく歩いていると、突然開けた場所に出た。そこには木などが一切生えてなく、ただ平原が広がっているだけの所だった。
だがよく見てみると平原の続く先に少しばかり盛り上がった丘があり、その上に一本だけ木が生えている場所があった。
僕は不思議に思いつつも再び周りを見渡す。すると隣にいたはずの小栖立さんがその木のある丘に向かってゆっくりと歩いて近づいていた。
「小栖立さん…?」
「……」
声をかけるも返事はなく、仕方がないのでとりあえず葛葉さんにここはどこなのかと声をかける。
たが
すでにそこには葛葉さんの姿はなく、僕と小栖立さんしかこの場にはいなかった。
「いない…?」
そうしている間にも小栖立さんはどんどん丘の方へと向かっている。ここがどこか分からなく、葛葉さんも消えてしまった以上、僕がやることは一つ…
「あの丘に行ってみるしか…ないよな…」
どう考えても原因のある怪しい丘に向かって僕は歩き出した。
・・・・
丘へと近づく内に僕はいくつかのおかしな点に気づいた。
1つ目は太陽の位置。先程から太陽の位置が変化してない。丘に向かって歩き始めてかれこれ1時間は経つというのにもかかわらずだ。
そして2つ目が丘の位置だ。見える距離に丘があるのにもかかわらず一向に着く気配がない。そのせいで1時間は歩いている。
それで最後の3つ目が…
「あの丘…何かいるな…」
そう最初は見えなかったのだが、よく見るとあの丘の木のすぐ下あたりに人らしき何かがいるのだ。
表情はよく見えないがこっちに手招きをしているのだけは確かだった。
「いつからホラーに変わったんだ…この物語は…」
そう呟くも誰かが聞いているわけでもない。僕は少し寂しさを感じつつもこの現象をどうにかしようと考える…が
「まぁ…あと少しでこの状況もどうにかなるだろう…」
少ししたら考えるのを止め、再び歩き出すことにした。
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