第十二死 森からの脱出①

「あ!葛葉さん。」

「なんですか?」


夜が明け、周りも明るくなり、僕達は移動のための支度をしていた。


そんなとき僕は葛葉さんに聞こうと思っていたことがあったのを思い出した。


「僕達この森から出たいんですけど…どうやったら出れるのか知りませんか?」


そう…正直僕はこの森から出たい。


この3ヶ月間、色々なモンスターに出会った…だけどその全てが僕を殺せなく…小栖立さんの手によってあえなく撃沈。


今の僕には不死身+小栖立護衛という盤石の守りっぷりだ。


その時僕は気づいた。『あれ…このままだと僕死ねないんじゃないか…?』と


少しメタ的なことを言うと…この森にもはや僕を殺せる奴がいないのだ…


この森の外に行けば僕を殺してくれる人が見つかるかもしれない。それに、いい加減木ばかりの景色に飽きたというのもある。


そういうわけで森からの脱出を目指しているわけだけど、


「え?ご主人達この森から出るつもりなんですか?」

「そのつもりだけど…?」


葛葉さんが驚いた顔で僕達を見る。それを小栖立さんが怪訝な表情で見ながら返答をしていた。


「えー…マジですか?やめといたほうがいいですって。」

「何か問題でも?」

「問題ですよ!問題しかないんですよ…!」

「それはどういう…?」


それから葛葉さんはまるで化け物でも見たかのような顔をしながら僕達に説明をしてくれた。


「私も一度出ようとしたんですよこの森…それで出るには出れたんですけど…」

「出れたの?!」


小栖立さんが驚きの声を上げた。


だけどそれもそうだろう…僕達はこの森をかれこれ3ヶ月間も彷徨ってる。それを出れたというのだ、僕だって驚いてる。


「問題はその後なんです…実はこの森、境界線のようなものが引かれていて、それを越えるとモンスターが襲って来るんですよ。」

「私が殺った狼みたいな?」

「いえ…あんなの比較にならないくらいヤバい奴でした。あの狼はそのモンスターから逃げるときに見つかって追いかけられたやつです。」


…やっぱこの森もまだまだ捨てたもんじゃないな!


「だからやめたほうがいいですよ!あいつは絶対無理ですって!!」

「うーん…物語くん…どう―」


そんな化け物がいるなんて…


これは…


「行こう!!」


行くしかない!!


「…ならもう決まりだね。物語くんが行くなら私も一緒に行く…に2人でこの森から脱出しよう?」


そう言いながら小栖立さんが僕の手を握ってくる…それはもう『にぎにぎ』と音が聞こえてきそうなくらいに…


「あの…小栖立さん、手が―」


小栖立は僕が言葉を言い終わる前にぐいっと顔を近づけてきて、


「お互い…無事に生きてこの森から出ようね!」

「……」


…小栖立さんそれ死亡フラグですよ…今言ったらだめなやつですって…


でも…


「はい。無事に生きてこの森から出ましょう!」


僕も言ってみたかったんだよねこの言葉《死亡フラグ》。


・・・・



「へへへ…あの…私まだロープに縛られてて身動き取れないんですけど…あの…?チョットぉ!助けてくださいよぉッ!?!」


その日森中に助けを求める謎の声が響き渡ったそうだ…






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