第十死 新たなクラスメイト

目が覚めると知らない天井があった。よく周りを見ると僕はテントの中にいるらしかった。


「ここ…は…」


どうやら知らないうちに僕は倒れていたらしい。だけど倒れる直前のことがよく思い出せない。


「なんで倒れたんだっけ…僕?」


ふと、何か手に触れるものがある。それが何か横を見て確認してみると、そこには小栖立さんが僕の隣で寝ていた。


「!!?」


驚いて少し大きな声を出してしまったせいか小栖立さんがゆっくりと起き上がってきた。


「んう…」

「お、おはようございます。一応聞くんですけど…僕何もやってないですよね…?」


内心冷や汗ダラダラだ。だけどそんな僕のお思いとは裏腹に小栖立さんは…


「ッ!…物語くん!?」

「はい。物語です。」

「目が…覚めたの…?」

「そう…みたいですね」

「よ、よかった…」


安心したかのように胸を撫で下ろす。その目は少し潤んでいた。


「体は大丈夫?なんともない?」

「はい。問題ないです。」

「ほんと?」

「本当です。」


そう…事実僕は今、体の調子がすこぶるいい。なんというか余計な雑念が消えた気分で心なしか体も軽い気がする。


「本当に…本当に死んじゃったかと思ったんだからね!」


涙の次は怒り始めた。忙しいなこの人…


「すみません…」

「何がすみませんか分かって言ってるの?」


小栖立さんからそう言われ僕は言葉に詰まる。


「……物語くん。私は―」


これはいつ終わるのだろうか…そう思いながら小栖立さんの次の言葉を待っていると、


「ん〜!!んむ〜!!?」


突然外の方から声が聞こえた。


「なんだ?」

「あ!」


突然聞こえたその声に僕が疑問の声を上げると小栖立さんは思い出したかのように素っ頓狂な声を出した。


気になった(説教から逃げたかったのもあるが)僕はその場から立ち上がりテントの外へと出る。


するとそこには―


「んむ〜!!んんんむ〜!?」


木に吊るされ、口や手を縛られたクラスメイトの少女がいた。


僕はそれを一目見るなり謎の圧を感じゆっくりと後ろを振り返る。するとそこには何故か笑みを浮かべる小栖立さんが立っていた。

 

「こ…これは…?」

「ん〜?なんだろうね?」


なんなんでしょうね…


「んん〜!?んむ!!」



・・・・



その後木から降ろし、ロープをほどいてあげたのだが…


「ありがとうございます!!ありがとうございます!!」

「……」


なんかものすごく感謝されてるんだけど…


「物語くん…いや!物語さん!!」

「さんッ?!」

「さん付けは気に入らないですか?ならばご主人様で!!」

「さんで!さんでいいです!!さんでよろしくお願いします!!」


結局、なんとかご主人様はやめてもらったが、ご主人というあんまり変わっていない呼び方になってしまった。


「というか!?ご主人!!聞いてくださいよ。私!そこの委員長…さんに木の上に吊るされたんですよ?!」


委員長とはもちろん小栖立さんのこと…そして先程から僕をご主人と呼ぶ、彼女は葛葉 未来(くずのは みらい)クラスメイトだ。



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