第10話 悪意
翌日。
真白は父親の真介と共に公園へと出掛ける。
「あなた、忘れ物は無い?」
「もちろんだとも!日焼け止めに保険の日傘、そしてボールもちゃんと持ったぞ!」
「ケガさせないようにね?」
「ああ!」
「真白もケガしないように気を付けてね?」
「はい!」
「よろしい!フフ、行ってらっしゃい」
「いってきまーす!」
「行ってくる」
「真白をお願いね?」
「ケガ一つ付けないとも!昼頃には帰ると思う」
「おとうさんはやくー!」
「おう!今行く!」
「ふふ。なら美味しいお昼ごはんを用意しとくわね」
真白と真介は車に乗り公園へと向かう。
「真白ー、しっかりシートベルト付けてるか?」「ばっちり!」
「よーし、良い子だ!」
「ありがと!」
真介と真白が公園に着く。
すると何組かの親子達の親から注目が集まる。
「ねぇ奥さん。あの子あんなに小さいのに髪を染めているわよ…」
「確かに可愛い女の子だけど子供から髪を染めたいなんて言うわけないわよね?」
「えぇそうね。たぶん親が無理やり染めさせてるんじゃないかしら?」
「……あら?よく見て、あの子の目!」
「え?…まぁ!あの子の親、どうかしてるわねぇ。カラーコンタクトかしら?赤い目だなんて、吸血鬼みたいで気味が悪いわ。あの子の親の気持ちが全く分からないわ。奥さんは?」
「私も同じ思いよ。全く、気味が悪い…」
真介はその言葉を聞き、すぐにでも言い返したくなったが、まだ幼い真白に大人の汚いところを見せたくなかったため、ぐっと堪え公園の端の方へと移動し、真白とボール遊びをすることに決めた。
そして最初は何をするかと考えたとき、幼稚園の先生が言っていた言葉を思い出し、真白にレシーブをさせてみることにした。
「真白、今からボールを投げるから、レシーブで返してみてくれるか?」
「レシーブってなに?」
「ほら、幼稚園で先生に教えて貰っただろ?」「わかった!」
真介がボールを投げる。
そして真白がレシーブで真介にボールを返す。
真介は正直バレーボールに詳しくない。
ただそれでも真白のレシーブが確実に素晴らしいものだと一目見て確信した。
そして何より真介が驚いたことはそのレシーブを見た覚えがあることだ。ある休日のお昼頃、共に休みの真白と一緒に家のリビングでテレビを見ながらぐうたらしていた真介。
何か面白い番組でもないかとチャンネルを切り替えているとバレーボール女子日本代表の試合が映し出されていた。試合も終盤、終わり際だったので真白と眺めていたことを覚えている。
そしてその中の一人、リベロと言われるポジションの選手が相手チームの強烈な一撃を何度も何度も、綺麗に受け止め、味方を勝利に導いていたことが強く記憶に残っている。
そして真白のレシーブが親の
「真白、そのレシーブは…」
「おぼえてたの!」
「そうか……そうか!やっぱり俺の子は天才だな!」
「てんさいってなに?」
「え?あーんー…才能がたくさんあるってことかな?」
「じゃあやっぱりさいのうはいっぱいあったほうがいいってことだよね!」
「え?あ、まぁそうだな?」
「そっか!」
そう言うと真白は同じ公園で遊んでいる親子を見つめる。
「真白!もしかして聞こえてたのか?」
「え?なにが?」
「あ…良かった、聞こえてなかったか」
「?それよりもおとうさん」
「どうした?」
「このかんじどういういみなの?どっちがいいやつかわかる?」
真白は落ちていた木の棒を使い地面に文字を書く。
「『記憶』と『怠惰』?それに『美容』と『嫉妬』?あとは『会話』に『虚実』?これは?」「そうよむんだ~。えっとね、もしこのなかからさいのうをえらぶとしたらどれがいいかな?」
「選ぶ?こんな難しい漢字をよく覚えてるな。
そうだな。お父さんなら『記憶』、『美容』、『会話』を選ぶかな?他の3つは絶対取らないかな?」
「どうして?」
「えっとな?まだ真白じゃ分からないかもしれないけど、よくアニメとかであるもので、大罪スキルっていうのがあってな?人の根源的な欲求のことだったかな?」
「たいざい?こんげん?」
「あはは、やっぱり難しいか。そうだな…まぁ簡単に、『怠惰』、『嫉妬』、『強欲』、『憤怒』、『暴食』、『色欲』、『傲慢』、それに『虚飾』、『憂鬱』もあったかな?」
「いっぱい…」
「はは、まぁ軽く覚えとけばいいさ。やっちゃいけない、覚えておく必要のないものだよ」
「おとうさん!かんじでかいて!」
「分かった分かった」
「へーこういうかんじにきをつけないといけないんだね」
「まぁ、真白にこれらの才能は無いと思うけどな!」
「じゃあこのさいのうはとらないね!」
「取らない?まぁそうだな。無い方が良いかな」
「わかった!」
そう言うと真白は真剣な表情で虚空を見つめる。
「真白?大丈夫か?」
「え?なんでもないよ?」
「そうか?ならボール遊び再開するか!」
「うん!」
──────────────────────
雪城
スキル
『子供2』『鑑定3』『
『早熟5』『球技の才能7』『勉強の才能4』
『口論の才能1』『研究の才能1』『忍耐の才能3』
『画家の才能1』『美術の才能1』『歌手の才能2』『記憶の才能1』『美容の才能1』『会話の才能1』
──────────────────────
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます