第6話 修行
お昼寝の時間が終わり、また自由時間が始まった。だが、その自由時間でも真白は日影の下で軽いボール遊びだ。
幼稚園の先生達が、真白のアルビノの性質における日差しに弱いことを理解しているからだ。
お絵かきや歌、絵本ではないのも外で運動出来ない真白のためである。
……少し、違う理由も混じっているだろうが。
「真白くん、お昼前にやったボール遊びを覚えてる?」
「はい!」
「そう!なら先生が軽くボールを投げるから、
あの時みたいに先生にボールを返してみて?」
「はーい」
「それじゃあ行くよー?」
万里子先生はバレーボールのファンだった。真白の動きがあまりに似ていたことから、真白にバレーボールの大きな才能が眠っているのではと考えたのだ。そして真白は先程のように、いや、先程よりも少し洗練されたレシーブを見せた。
「真白くん…凄いわ!とっても凄いわ!」
「え?そうかな…?」
「ええホントよ!次は先生の真似してくれる?こんな風に頭の上でボールを両手の指で軽く上に飛ばすの。やってみてくれる?」
「うん!わかった!」
レシーブの次はいわゆるオーバーハンドパスである。真白は万里子先生の真似をして上に飛ばす。
「うん!やっぱり上手いわ!」
「そうかな?」
「ええ!びっくりするくらい上手いわよ!」
(まぁ、流石にオーバーハンドパスはさっきほど上手くはなかったけど、選手の人も練習して上手くなったのだし真白くんも同じように上手くなれるでしょう。
それまでにへそを曲げられても困るし、褒めて伸ばさないとね。というか最初からやったことあるみたいに上手いけど)
「その調子で練習してみましょうか」
「うん!」
先生は真白が少し疲れてくるまで、まるで遊んでいるように練習させ、疲れを見抜いたらそこで休憩させた。真白が飽きないように趣向を凝らし、めげないように褒め続けながら。
真白は先生の思惑通りにバレーボールの練習、万里子先生にも熱が入りもはや修行のような様子になっていた。
だが、真白が飽きなかった理由としては先生の努力だけでは無く、真白も実感していたからである。自身の成長を。
(なんでたろう。
「あら?そろそろね」
「え?まりこせんせい?」
「真白くんお迎えの時間よ。お父さんがもう駐車場で待ってるって」
「え!もうそんな
「ええ、荷物を
「はい!」
真白はすぐに自分の荷物を纏め、父親の待っている駐車場に向かう。
「真白くん!日傘さしてあげるからゆっくり歩きましょうね?」
「あ、はーい」
真白と先生は一緒に駐車場へ向かう。真白の帰宅は他の園児よりも早い。
真白の父親の真介の仕事の休憩時間が長いことと、その事情を
「お、真白今日は先生と一緒か。
万里子先生、いつも真白をありがとうございます。何か迷惑をかけていないでしょうか」
「ぼく
「真白くん?今日はお昼寝の時間に大きな声出してたでしょう?」
「そうなのか真白?」
「え、あ、うん…」
「次からはそんなことしないようにな?」
「はい…」
「そうだ真白くんのお父さん!」
「はい?」
「真白くんはバレーボールの才能があると思います!」
「そ、そうなんですか?」
「ええ、ええ。それはもう素晴らしいレシーブでした。オーバーハンドパスも少し教えただけで大きく物にして、これは天才ですよ」
「そ、そうですか…。そうですよね!
「はい!天才です!」
親馬鹿とバレーボールオタクが合わさるとこうなる。
「それではお気をつけてお帰りください」
「
「はーい、ゆっくり休んでね〜」
そうして真白は帰路についた。
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雪城
スキル
『子供2』『鑑定3』『
『早熟5』『球技の才能7』『勉強の才能4』
『口論の才能1』『研究の才能1』『忍耐の才能3』
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