第4話 模倣

幼稚園への登園後は園児達は自由時間である。


「せんせい!まりこせんせい!」

「どうしたの?真白くん」


「この『模倣』ってかんじはなんてよむの?」「これはね?『もほう』って読むんだよ?」


「どういういみですか!」

「んー、そうだねー…コピー?いやそれじゃ分からないか…他の人のことを真似する、同じことをするってことかな?」


「じゃあこっちは?『真似の才能』」

「前が『まね』で、後ろが『さいのう』って読むんだよ。『真似』はさっきの『模倣』とほとんど同じで、『才能』はその人の得意なこと、って感じかな?

他は何かある?」


「あとあと!『スキル』ってどういういみなの?」

「んースキルっていうのは…、意味だと『才能』と同じなんだけど、アニメとかに出てくるスキルは…んーそうだなぁ…必殺技!みたいな感じかな?他には?」


「だいじょうぶ!せんせいを『かんてい』!」「あら?…ああ、あのアニメを見たのかな?」


──────────────────────

木戸 万里子  26歳

スキル

『大人2』『菜園3』『炊事5』『球技の才能7』

『運転5』『言語力4』『数学7』『保育6』『統率5』

『肉体的疲労耐性5』『精神的疲労耐性8』

──────────────────────


「せんせい…つかれてるの?」

「まあ、子供の相手は大変だから…あ、ゴホッゴホッ、大丈夫よ?別に疲れてないからね?」


「そうなの?ならよかったね!」

「ええ、心配してくれてありがとう」


「……」

(スキルはひっさつわざ、『もほう』はまねをするひっさつわざ?ってことなら)

「せんせいを『もほう』!」

「あら?先生真似されちゃうの?」


【どのスキルを模倣しますか?】


目の前に鑑定を使った時のような透明の板が現れた。


「え?」

「どうかしたの真白くん?」



「せんせいきこえない?」

「ん?何が?」


「んー…んーん!なんでもない!」

「そっか。ならお外で…は肌に悪いか。中で遊んでおいで」


「はーい!」

【どのスキルを模倣しますか?】


「これうるさいなぁ…ん?【スキルをもほう】?スキルをまねできるってこと?スキル…ひっさつわざをまねできる!でもなんのひっさつわざをまねするんだ?」

【個体名 木戸きど 万里子まりこよりスキルを選択してください】


「まりこって、まりこせんせい?まりこせんせいのひっさつわざをまねするの?せんたくってなに?ふくをあらうこと?」

【どのスキルを模倣しますか?】


「じゃまだなぁ。どのスキルって、なんてよむのかわからないのに…そういえばおとうさんがさいのうはあればあるだけいいって…よし!ならこのなにかの『さいのう』ってやつ!」


【スキルが選択されました。スキル『球技きゅうぎの才能』を模倣します。…模倣しました】


「『球技きゅうぎ』ってよむのかぁ…」

「みんなー!自由時間は終わりですよー!教室に戻って集まりましょうねー!」


「「「「「はーい!」」」」」


園児達はそれぞれの教室へと戻っていく。真白も含めて。

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