44. 『クマ撃ちの女』14巻/『ケンガンオメガ』26巻

 とりあえず、購入した順番に読んでいっています。



◆『クマ撃ちの女』(14)安島薮太


 綺麗事だけでは立ち行かない、人間とクマとの戦いを真正面から生々しく、時にコミカルに描く秀作ヒューマンドラマです。



 チアキ炎上。「チアキさんは美人ですよ」とうさんのさりげないフォローになごむも束の間、SNSの闇に囚われたチアキのメンタルがヤバい。捏造、印象操作、自宅特定……歪んだ正義がチアキを追い詰めます。


 限界寸前のチアキを救ったのは何と、クマ撃ちに反対していたはずのお姉ちゃん! 家族だからこその喝入れと無敵のヤンキー理論は痛快でした。伊藤さんと一緒に深々と頭を下げたい気持ちです。



 チアキ山へ帰還。「周りがなんと言おうと伊藤さんと猟があればいい」実質プロポーズでは? 伊藤さんのシカ撃ち提案が、チアキには最初からただの口実だと伝わっていたのにも感動です。


 その後、ひょんなことから光本こうもと師匠を頼る流れに。久々の再会は何となかのオマケ付き! 良くも悪くもルール無用な二人のおかげで、チアキたちも視野と発想が広がります。



 クマをおびき寄せるにはシカが必要、というわけで巻狩りへ。チアキがこれまでに結んだ人たちとの縁が、宿敵を討つチャンスを後押しする展開に胸熱です。


 猟友会の面々に加え、頼もしい助っ人がまた二人。カツヤおじさん、光本師匠のまた師匠だったんですね。急に大人しくなる師匠が面白い(笑)。


 そしてトリガーハッピー女医こと宮下みやしたさんまで。シカ相手には無双していた宮下さんですが、忍び寄るクマの影にどう対処する……!?



 おまけは光本師匠と中野の合流裏話。お互い腹の探り合いをするゲスさが、かえってお似合いの二人ですね。Happy End!(←公式)




◆『ケンガンオメガ』(26)サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん


 前作からのスパイ疑惑ここで拾うんだ……みたいな驚きもありつつ、本題はシェン武龍ウーロンの目的。つながる者はたわむれたい。相変わらずフザケたことを抜かすオッサンに頭領もおかんむりです(ほのぼのシーンです)。



 リアルチャンピオンシップ開幕。強者たちを闘わせ、さらなる高みへ押し上げる化学反応を期待して。


 出場トップを飾るのは柔王・あらしやま。VSガオランはジャブの嵐に耐えながら放つ「振り」で対抗。何か頭の中で普通に故人と会話してますけど平常運転です。

 ムエタイ解禁そして「神の御光」も総動員したガオランの意地は、悲願のアギト再戦へ向けた大きな一歩となるのか。



 レスリングの喜多きたがわジャスティンVS空手のさきがけらく、新顔対決はどちらもキャラが濃ゆいです。バックにいるヤ◯ザ屋さんは、同作者の『一勝千金』でも活躍されていますよね。裏社会怖いですね。


 続く第三仕合。ユリウスVSアギトの2m級対決は、両者初手から本領を発揮。どうなる次巻。


 巻末描き下ろしは成島なるしま麦酒会。幕間の嵐山劇場×2といい、読者需要を理解したおまけが嬉しいですね。

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