38. 『北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝』6巻

 『北斗の拳』が漫画ではなく、特撮ドラマとして作られていたら――そんなif世界のお話。何もかもが手探りの昭和時代を追体験する楽しみ方もまた一興です。



◆『北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝』(6)武論尊/原哲夫/倉尾宏


 レイ役・ざきさんに異変。メソッド演技が現場にもたらした斜め上な影響力! まさしく闇の力ですわ~。

 ラオウ一人称ブレのオチで笑う。やっぱり勢いって大事ですね。


 本読みにラオウ襲来。会議室で南斗水鳥拳は危険だから! 情熱的なレイの告白がマミヤ……というかふたさんのハートにクリティカルヒット! 台本読み合わせしてるだけでこんなに面白いことある!?



 「これで足をブッ刺しましょう!!」の世紀末感。流石はたちばなケンシロウ。それに応えるしまラオウの名演。天然ならぬ天才同士の相乗効果が名作を作り上げるのですね~。



 待ってました!の視聴者リアクション回。かつての原作読者の気持ちを代弁してくれてます! 獄長の鞭は私も幼心にツッコミを入れた思い出。死兆星で大騒ぎも懐かしみ。



 思わぬスタジオマジック?でお耽美なユダ誕生秘話。ハプニングや無茶振りにもひるむことなく、自己暗示でキャラを作り上げる渡辺わたなべくんが逸材すぎる。JD→UDの伝言ゲーム。分かってても笑う。


 現場を見学する渡辺わたなべくんの反応が新鮮。我々(読者)は『北斗』に慣れすぎたのだ……。輪投げで盛り上がる悪役の人たちかわいい。


 渡辺わたなべくん、レイ=ざき先輩が僕を殺しに来る!で歓喜に打ち震えるヤベー奴だった! 強火担大暴走で台本や演出がどんどん書き変わっていく……!



 そんなこんなで盛り上がる『北斗』に映画化の話が舞い込みます。劇場版スケールとなると、あのエピソードしかありませんよね~(聖帝十字陵を幻視しつつ)。



 単行本での楽しみ、幕間の四コマはどれも傑作。メイクさんの黒王号アテレコと、ジャミングいわさんガチギレが面白かったです。

 巻末描き下ろしは恒例の令和版。役者さんの感想が令和の我々すぎる(笑)。




 おなじみの『北斗』も、こうして違った視点から見つめると、続々と新たな発見がありますね。「言われてみれば!」と感じることが毎回のようにあって楽しいです。


 原作キャラの魅力は勿論のこと、演じる役者さんたちやスタッフもみんな個性的で活き活きとしているので愛着が湧きます。このままぜひ完結まで突っ走ってほしいなと思います。

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