37. 『付き合ってあげてもいいかな』13巻

 ポップな絵柄から飛び出す克明なリアリティ。エンタメ的なニュアンスを含んだ「百合」では勿論ありつつ、若き同性愛者の大学生活と性愛を真摯に、生々しく描いた傑作です。



◆『付き合ってあげてもいいかな』(13)たみふる


 さえ優梨愛ゆりあ、お互い気持ちの整理がついたうえでのお別れは穏やかに。「またね」に込められた万感の想いを手紙で紐解く。背中を押されたさえは「新しい軸」を探して迷走開始。「集まり」にてカルチャーショック。


 就活真っ只中の仲間内で浮いてるさえを心配する「保護者」みわ。「寂しかった」何やかんやでさえの本音を引き出してしまうのは、みわだけなのですね。



 行き当たりばったりの二人旅。海沿い、民宿、露天風呂、そして親友同士の晩酌。「自由ってがんじがらめ」さえの自己肯定感の低さが改めて露呈します。みわの聞き上手と包容力はさえ特攻なのかも。手繋ぎ就寝尊し。


 漫喫でひざ掛けシェア、濃厚な百合が立ち込めてまいりました。頬ピタは百歩譲るとして、頬キスは友だちの距離ではない気が(名探偵)。動揺してるのはみわですが、これ絶対さえの方が重いですよね?(願望)



 またもや自然に手繋ぎ。ベッドの上でじゃれ合いながら、お互いの気持ちを探り合い。そして――みわのトラウマは深かった。でも、さえとならシてみたかったのは本音。それが救い。


 みわに世話焼きさえ、愛を感じます。「また付き合ってる?」思われるのもやむなし! 練習……エッッでもあり切実でもあり。お風呂上がりの冴みわ→みわ冴の荒療治。みわの口から「好き」、読者はしっかり聞きましたからね!?



 みわはさえへの想いをはっきりと自覚。対するさえは二度も失恋はしたくないと、臆病な本音を吐露……いやもうそれはLOVEなんですよ! 認めなさいよ! と、今後あと何度か叫びたくなることでしょう。


 そして次巻予告……「完結」「(完)」!? ここまで来れば、読者の望むことはただ一つです。カバー裏漫画、これはもう、そういうことと理解してもよろしいのですね? 信じますからね……!?

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