36. 『ヤンキーショタとオタクおねえさん』1~7巻

 ショタ単体には萌えませんが、ショタが年上のお姉さんに強烈な体験を植え付けられるシチュは大好物な真野まのうおです。



◆『ヤンキーショタとオタクおねえさん』(1)~(7)星海ユミ


 読んで字のごとくなタイトル。ヤンキー気質な小学生男子・りゅうおうくんが、隣の家に住むオタクお姉さん・かづ子への真っ直ぐな恋心を不器用ながらに伝えようと奮闘する、甘酸っぱい年の差ラブコメです。



 黒髪眼鏡スタイルの素朴で清楚な(ただしオタゆえの奇行が目立つ)かづ子さんですが、りゅうおうくんビジョンで見ると本当に優しくて素敵なお姉さんで、お年頃の少年が恋してしまうのも納得なのです。


 かづ子さんがりゅうおうくんの好意に気付く日は来るのか。その時、かづ子さんはりゅうおうくんに対してどんな態度を表すのか。一歩間違えば事案発生不可避な恋の行方から目が離せません。



 メインの二人は勿論のこと、脇を固めるキャラクターたちもそれぞれにユニークで魅力的です。


 ショタおねに挟まらないオタクのかがみ、かづ子さんの同志パンパンマンさん。

 かづ子さんの職場の先輩で隠れオタのいずみさん。


 りゅうおうくんの恋路をそっと見守りつつ、時には助け舟を出す元ヤンのご両親。

 美少女ヒロインのガワを被った本作随一のギャグキャラ、りゅうおうくんに恋する同級生りんこちゃん。そんな彼女に恋する中性的美少年のしずかくんも。



 序盤の注目エピソードは第2巻第15話。ほろ酔いかづ子さんのもとにりゅうおうくんが自転車でお迎えに来るお話が大好きです。最後のにまにましてるりゅうおうくんが可愛すぎました。


 5巻36話では、かづ子さんもついにりゅうおうくんの気持ちに気付くか? と思いきや、本作の肝である「三年前」が伝わらないもどかしさにいたたまれなくなりました。とはいえ、こんなにも情熱的に想われたら誰だって心が動かされますよね。



 本作の大部分を占めるコメディ要素も忘れてはいけません。毎回ハイセンスなギャグで楽しませてもらいました。


 3巻第20話では、お部屋でショタフィギュア実況(!?)するかづ子さんの奇行にまず笑うのですが、勘違いから脳破壊されるりゅうおうくんの不憫さも相まって、面白みが倍加していた印象です。


 5巻第30話は、龍×静の現場(語弊)に出くわすりんこちゃんの大暴走に爆笑しっぱなしでした。BL婚はともかく、爆速出産理解は剛の者すぎて、末恐ろしい子だなと思いました(笑)。



 最新7巻でも、第44話は冒頭から飛ばしていました。

 かづ子さんのオタ友であるトモトモは基本強キャラなのですが、夢女バレ&会心の画力が発覚で珍しくダメージを受けていたのが、申し訳ないけど笑ってしまいました。


 この巻の大部分を占めるバレンタイン&ホワイトデーのエピソードも、それぞれに笑いあり感動ありの見どころが盛り沢山です。紆余曲折の末、かづ子さんにお礼を言えたりゅうおうくんのピュアさには、全私が浄化されました……。



 全体を通して、りゅうおうくんとかづ子さんの心の距離が、少しずつ近付いていく様子が丁寧に描かれているのが、とても好印象です。

 個人的には、2・3・5・7巻で物語が大きく動いたかな? と感じられました。


 何はともあれ、これほど尊いショタおねは稀有けうな存在かも。たとえ法が許さなくても私が許す! と声高に叫びたくなる作品です。

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