39. 『スケバンと転校生』3巻〈完結〉

 いつの時代であっても、想い合う二人同士が幸せに過ごせる世の中であってほしいと願うばかりです。



◆『スケバンと転校生』〈完結〉(3)ふじちか


 昭和の学園が舞台の百合コメディ。スケバンあつ子と転校生神崎かんざきの一風変わった交流は、友情から様々な波瀾を乗り越えて、いつしかLOVEへと進化します。


 両想い→告白→お付き合い開始となった本巻。先生のアシストで調理実習も二人一緒に。愛のある食卓……おやおや、新婚家庭ですかな?



 初デートはバイクでニケツ。自然密着で縮まる距離も、行く先々でハプニング発生。空回りするあつ子を励ます神崎かんざきのヒロイン力よ。お互い初めてづくしの二人、夕日の中を走る画が美しい……。


 宵のドライブインで自販機ラーメンをすする二人。紙面越しにぬくもりが伝わってくるかのよう。おそろいのキーホルダーに通じ合う想い。初めてのキスは……これカウントされてますか……? 身を寄せ合う二人が尊いのでヨシ!



 文化祭の模擬店でウェイトレスお披露目。あつ子特製のリンゴジュースは握撃搾りたて&スマイル付き。人気爆発で引っ張りだこのあつ子に、神崎かんざきの独占欲が暴走しますが……二人で観る星空プラネタリウムはどこまでも綺麗で。



 そんなある日、突如として神崎かんざきに突き付けられる「女の子同士」の現実。両親に祝福してもらえないつらさは身にこたえます。


 ところが救世主登場です。2巻第15話でも思いましたが、あつ子ママが素敵すぎます! この母にしてこの娘あり、あつ子の真っ直ぐな気持ちが神崎かんざきの心を溶かします。たとえ世界が認めなくたって、変わらない想いがあるから。



 そして最終回……え!? 最終回!? 心の準備できてなかったんですけど!! 過去キャラ総登場が最終回感に拍車をかけます……!


 雪まつり?やら雪合戦やらで賑やかな一方、思い出の場所やアイテムで過去を振り返ってしみじみ。

 あつ子「凛々りり」。はい、名前呼び頂きました! 今度こそ本番のキス。そして最後は二人の馴れ初め「くだらないお遊び」で。




 時は80年代。女性同士の恋愛は、今よりもずっと肩身が狭かったことと察します。

 昭和から平成へ、あつ子と神崎かんざきが年を重ね、今日もどこかで一緒に過ごす姿に思いを馳せながら、温かかな気持ちでページを閉じる令和の秋なのでした。

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