上2

「あれ?征夜は?」と春原。

「確かにいねえな。"ハル"、お前昨日あいつと飯食ったんじゃなかったっけ。」と取り巻きの一人が。

「ああ。なんでいねえんだ?」

「あれだろ。お前飯に毒盛ったろ。」

「盛ってねえって。」

「じゃああれか?昨日の喧嘩で怪我したとかか?ははは。」

「俺のパンチ一発も当たってねえっつうの。」

「ああ、確かに昨日の喧嘩凄かったよな。」

「ああ。戦って分かったけど、あいつマジで最強だよ。プロの格闘家と戦ってる気分だった。勝てるわけがねえ。」

担任の佐藤がドアを開ける。

「おいみんないっかー朝礼始めるよー。...おお、お前ら遅刻しないで来てるのか珍しい。」

「先生、征夜は?」

「いや、分からない。何の連絡ももらってない。」

「あいつサボりかー?」

それからも征夜が来ることもなく、連絡も来ないまま、昼休みに入った。

「"ハル"、飯行こうぜ。」

「おう」

春原といつもの取り巻きの3人で、外に繰り出す。

行き先は当然、井魔戸市。だが春原にはある予感があった。

その予感が現実かどうか確かめるため、春原と3人はいつもと少し行動を変えた。

まず昨日のファミレスに行き、最安値のパン1つだけ頼み、店を出る。

そのあとは付近の駐車場とスーパーをしらみつぶしに回る。

「ハルーもう1時だし飯食ってからにしねえ?」

「もう少しだからちょっと待って。」

そうしてもう少し歩くと、

「あ、いた。」

征夜だ。コンビニの駐車場にいた。自転車を停めて。その自転車の後ろにスーツケースを固定している。

「おい今時コンビニでヤンキー座りとか古いぞ。」

「ああ、そうか。」

征夜は最低限の言葉で返す。目つきは普段より一段と鋭く、声色はより一層怒ってるような、常になにかと戦ってるような、そんな感じになっていた。

「春原、なんでここにいるって分かった?」

「井魔戸にいるってことまではなんとなく分かってた。でも井魔戸のどこにいるかまでは分からなかったから、適当に探してたってだけだ。」

「なんで井魔戸にいるのは分かった?」

「勘に決まってんだろ。」

「へえ。」

「ついでに言うと、お前が学校休んだのも、そんな変な態度取ってる理由もなんとなくわかる。」

「....。」

「家出だろ。」

「そうだよ。」

「マジかよ」と取り巻きの一人が。

「まあいいさ家出でも。そうだ、今日は昨日言った"集まり"の話をしようと思ってたんだ。なんならいま呼び出してやるよ。」

そういっておもむろに携帯を取り出すと、なかなかのスピードでボタンをカチカチと打っていた。メールか?

そうするとものの10分で人が集まってきた。

彼らは下は小学校中学年、上は20前後の大人までいた。だがどの人間も、共通して異端な雰囲気があった。

要は社会や学校からつまはじきにされた者、はぐれ者の"集まり"だった。

だが征夜はさほど驚かない。

「こういう"集まり"だって分かってたか?」

「ああ、なんとなく予想はしてた。こういうのか、あるいは暴走族だってな。」

「え?暴走族?」春原はキョトンと聞き返した。

「なんだよ。」

「いや?暴走族とか古すぎると思ってさ。」

「いまはカラギャンだよな。」

「カラギャン?」

「ああ、いやなんでもねえ。悪いな。」

そんな話をしていると、いつの間にか周りに10人程度は集まった。

「よし、人集まったし自己紹介でもすっか!まず征夜から。」

「俺からかよ。仙道征夜です。ワケあって家出して井魔戸に転がりこみました。よろしく頼みます。」

「征夜、ワケってのは?」と春原。

「...言わなきゃダメか?」

「別に?」

「次私ね。」

「おう」

「はじめまして。漆山ナギって言います。私、家の事情が特殊で、よくこの集まりに参加してます。よろしくね。」

「ああ、よろしく。」

「次アタシか。はじめまして、元自衛官の佐舞美波(さまいみなみ)です。よろしくお願いします。」

「元自衛官?」

「そうです。話が長くなっちゃうけど、要は上司と大揉めしてクビになっちゃった。」

「そうっすか。」

そして、「初めまして」「初めまして」「初めまして」」と、そこそこ長い自己紹介タイムは終わった。

「うし!全員の自己紹介も終わったし、飯食いに行きますか!」

結局行くのはさっきとは別のファミレスだった。

「なあ春原」と征夜。

「なんだ?」

「どうしても聞きたいことがあってさ。」

「俺とケンカしたときに出したあの"風"なんなのか教えてくれねえか。」

「おいまたそれかよ。」

「もういいんじゃない?教えちゃって。」そう口を開いたのはナギだった。

「まあそうか、征夜は家出するほどの筋金入りの奴だからな。」

「あとでじっくり教えてやるわ。今は飯食おうぜ。」

「そういやハル、最初の頃と比べて征夜と仲良くなったよな。」と取り巻きの一人が。

「そこまで仲良くはなってねえよ。ただこいつとは一回本気の喧嘩してるし、もう今日からウチの仲間入りなんだから、対応も変わるぜ。

しかもこいつ家出するほどの筋金入りだからな、気合入ってるわ。」

「そういえば征夜君でしたっけ。兄弟とかいるんですか?」と佐舞。

「.....!!」

箸が止まった。

玲、優、確かにあの二人は優しくしてくれた。でもそれはむしろ逆効果だって、昨日のあの地獄の中気づいた。

なまじ地獄の中に優しさが少しだけあるのが非常によくなかった。

そんな状況だと、どんな地獄であれ、どんなに自分を貶され、奴隷のようにみじめにされても受け入れてしまう。

根本的な地獄や不幸を解決しようとせずに、ほんの少しの優しさだけに縋り付いてしまう。だから無抵抗になる。

苦しみに優しさが少し交れば、それは弱さとなって人を狂わせる。

だから、潤いの無い道を這って進むんだ。希望など待ってなくても。

「征夜?」

「ん?ああ、ああ悪い。ああっと何の話でしたっけ?」


時計を見ると午後4時半だ。

「今日も楽しかったぜみんな!それじゃまた明日、気を付けてなー!」

解散。だが征夜は帰らない。帰る場所なんて甘えと一緒に捨てた。

残ったのは征夜、春原、ナギ。

「よし、征夜それじゃあお待ちかね。あの風の正体を教えてやろう。」と春原。

「結論から言ってしまうと、あれは"マホウ"だ。」

「は?真法!?バカな!?あれは真法とは別種のものだぞ!?」

「ビックリするよなあ。じゃあそこらへんの詳しい話は、ナギ。」

青緑の髪でかわいらしい少女が、ナギだ。年は征夜と同じか年下か。

「うん、あれはれっきとしたマホウ。風のマホウだよ。」

「馬鹿な風の真法なんて聞いたことがねえ!それにあの風を真法というには決定的に違うところがあるだろ!」

「あるよな。決定的に違うところといったら、"どこかに接触しても消えない"、"人に当たっても痛みにならない"、

"ちゃんと風の作用を発揮する"ってとこだろ?」と春原。

「そうだ、要は真法によるかりそめの風じゃなく、自然の風を何もないところから出したんだ。」

「そう、それこそマホウなの。ただし普段使ってる"真法"とは区別が必要かな。私たちはこれを"魔法"と呼んでる。

悪魔の魔に法律の法で魔法だよ。」

「マジかよ。」

全国大会優勝、最強の名を手に入れた征夜でさえ、全く知らなかった領域、魔法。

それは見掛け倒しの属性なんかじゃない。本物を出せる。ということは?

「なあ、まさか炎とか水とか雷も、魔法で出せるってことか?」

「出せるよ。例えばほら。」

そういってナギは、コンクリの地面から氷の山を、まるでたけのこのように生やした。

「触ってごらん。」

征夜が手で触る。"真法"なら痛みを伴って消える。だが。

「嘘だろ...冷てえ。」

氷は実体として残っている。消えない。つまり"本物の氷"を出したことになる。

「これで分かった?」

「いや今でも信じらんねえ。こんな技が今まで誰にも知られてなかったのか...。」

「知られてなかったんじゃねえ、俺たちが隠してたんだ。」と春原。

「どういうことよ。」

「自然の力100%を引き出す魔法は、殺傷能力だってもつだろ。例えば炎の真法は相手にぶつけても"痛い"で終わりだが、

魔法の炎はちゃんと相手を燃やす。水、雷だって同じだ。溺死させることもできるし、感電死させることもできる。」

「一歩間違えれば人を殺す危険性があると。」

「そうだ。それともう一つ。この"魔法"は、俺たちの武器。切り札だ。

はぐれ者集団の俺たちでも相手に対抗できる最後の手段が、この"魔法"なんだよ。」

「なるほど、そういうことか。」

「普通ならこんな易々と教えることはしないが、お前は家出してこの界隈に入り込んだ筋金入りだからな。」

「分かった、ありがとうな春原、ナギ。」

「お役に立てて何よりだ。さて、魔法の出し方だが、それはナギからレクチャーしてもらってくれ。俺パチンコ行ってくるわ。」

そういってタバコを咥え火をつける。

「ちょっとタバコダメ!」とナギ。

「わかったわかった。じゃあな。」

「うん、それじゃ征夜。ここだと周り巻き込むし場所変えよっか。」

そうして移動した先は立体駐車場。

「ここでいいのか?」と征夜。

「うん、ここ料金が高いって評判の駐車場だから、誰も入らないの。」

「じゃあ始めるよ。まずは基本中の基本、風の魔法から練習していこう。」

「炎じゃないのか。」

「うん、"魔法"の基本は風なの。じゃあいくよ。」

ナギが征夜の背中をポンっと手で触れる。

「イメージ、イメージして。難しいことは考えなくていい。いつも炎を出してる要領で、風を手から出せばいい。」

「イメージ...。イメージ...。風...?」

「じゃあさ、征夜高いところから落ちたことある?」

「...!!」

「高いところから落ちたとき、つまづいて転んだ時、どうやって身を守った?それをイメージして、手から出す。」

真法を出す動作はそのままに、井戸に落ちた時のイメージを組み合わせて力をこめる。すると、

強風が出た。その強風は征夜とナギの髪と服をなびかせた。

「嘘だろ...こんなあっさり...。」

「そう、まあ征夜の場合は真法が上手だから、すぐ出せたのもあるかもね。」

「え、あ、そうか...。なあ、ちなみに炎とか水とかの魔法はどうやってやるんだ?」

「ああ、それは真法と同じ。ただ出すときに、それが真法なのか魔法なのか、頭の中でしっかり区別して出す。それだけでいいよ。」

そう聞くと征夜は、いつもと全く同じ方法で水を出した。ただし頭の中で"魔法"の水を出すとイメージしながら。

その水を手で触る。すると、

チャプッ

と、まさに自然の水そのものの感触が得られた。

「真法とやり方はなんも変わらねえ。これだけでできるようになるのか。」

「うん、まあね。」

征夜は魔法に対する驚きとは別に、ある考えをしていた。

今まで人殺しといったら、包丁で刺す、ハンマーかバッドで頭にフルスイングする、とかその方法しか分からなかった。

だが、この魔法があれば話は別。殺せる。今まで俺を地獄に落としてきたクズをすべて。

たとえそれがあのカス親父であろうとも...!!


携帯を見ると、気づけば時間は午後6時を指していた。

午後6時、笹羽中学も下校の時間を迎えた。

「じゃあ今日は先生も会議があるのでここで切り上げます。優!」

「はい、気を付け!ありがとうございました!」

「ありがとうございました!!」


優を中心とした6人程度のいつものグループで帰る。

「そういえばみんな卒業の作文書いた?」

「卒業作文って卒業文集のあれ?」

「いやあれとは別にさー、1年の思い出、2年の思い出を書いて提出するってあったじゃーん。」

「あーあれね。ウチまだ書いてなーい。」

「ウチも。2年生の思い出でつまづいてんだよね。2年ってなにかあった?」

「あったじゃん。ほら、愛伊奈(めいな)の」

「........。」

誰もしゃべらなくなる。静寂が訪れる。

「あ、ああごめん!えっと2年ってさ、職業体験あったじゃん!」

"愛伊奈"という単語がタブーかのように、全員黙りこくった。

その一瞬の光景に、優はほくそ笑んだ。


去年の今頃は、確か、雨だった。

優は携帯ショップにいた。玲、征夜、そして正道も。

「こちらの機種なんかは最新のものでございまして、最近よくCMでやってるかと思うんですけど、

カメラ機能はもちろんのこと、なんと動画まで撮れてしまう優れものでございます。」

「どうが?」と正道が聞き返す。

「ええ。動画というのも聞いたことがないと思うんですけど、まあ要はビデオカメラのようにビデオが撮れるということで。」

「ビデオねえ。」

「ちょっと試してみましょうか。」と店員が携帯を優たちに向ける。

「再生しますね。」と優たちに画面を見せる。

「おお、すげえ。」と驚く玲。

「これビデオカメラいらねえんじゃねえのか?」と正道。

「まあ、これだと30秒しか取れないので、ビデオカメラほどというわけではないんですけど、十分便利ですよ。」

「どうする?」

「これが一番いいんだけど!」と玲。

「あたしも」と優。

「よし、じゃあ二人分買っとくか。」

「お父様ともう一人のお子様はどうしますか。」

「いや、俺と征夜は後で決めるわ。とりあえず二人だけで。」

「かしこまりました。すぐご用意いたしますのでお待ちください。ちなみにカラーは...」


翌日、2年2組のドアをガラッと開ける。

「おはよー優ちゃん。」

「おはよー。」

登校してそうそう4~5人ばかりのグループで喋る。狩崎愛伊奈(かりざきめいな)もそのグループの中にいる。。

「ねえ、昨日の"花たば"みた?」と愛伊奈。

「見た見た、やっぱ海君かっこいいよね。」

「ねー。」

「優ちゃんもあれ見た?」

「あーあたしねー、昨日家族で出かけてて見れなかったんだよねー。」

「まじー?昨日めっちゃ面白かったのに。」

「ねえ、どこ出かけてたの?」

「携帯ショップ。新しい携帯買ったんだー。」

「まじでー?何買ったの?」

「なんか名前忘れたけど最新機種のやつ。今CMでやってる動画撮れるってやつなんだけど。」

「あーあれ!あんなすごいやつ買ったのー!」

「うらやましい!ウチもあれ欲しいなあ!」

「おし、朝礼やるぞー。」

2年2組の担任、網田が入る。

「早速だけど、昨日の放課後うちのゴミ箱に"これ"が入ってた。」

それは空のコーラのペットボトル。

「これ捨てたの誰だ?正直に出てこい。」

「.....。」

クラスが静寂に包まれる。

「あのな、常識的にありえねえぞこれ。でも早く名乗り出ればまだ"罪"は重くならねえぞ。」

「......。」

まだ静寂。

「この朝礼中に名乗り出なければ昼休みもこんな感じだからな。」

「え?昼休み?」

ぼそっと誰かがそう耳打ちした。

「昼休みも?」

「昼休みもこれ続けるの?」

その耳打ちを皮切りに、ボソッボソッとざわつき始める。

「はい静かに。いいか?やったやつがちゃんと名乗り出れば、大丈夫だから。」

「どうした?名乗り出ないのか?」

「......。」

まだ誰も名乗らない。

「先生。」静寂を破ったのは優だった。

「どうした優。」

「1限音楽で移動教室なんで、早めに切り上げてもらっていいですか。」

「え?うそ。ほんとだ。ごめんなみんな。ただ昼休みまでに名乗り出てこないとさっきも言った通りこれ続けるから、そこだけな。」

こうして犯人探しは中断した。


1限の準備中でも、みんなの勘ぐりあいは続く。

「マジで誰がやったんだよ。」

「俺昼休みで今日の宿題終わらせるつもりだったんだけど。まるまる潰れたらどうすんだよ。」

「今日昼休みバスケできないんじゃね?」

とざわついている。

昼休みという、誰にとっても有意義になる自由時間を丸々削られかねないという不満が出ている。

だが結局お昼になっても、誰も名乗り出なかった。

そうして、みんなの懸念していたことが始まる。

「......。」

昼休みがどんどん減っていく。廊下では談笑が聞こえる。男子が走り回っている。暇な生徒たちは静かな2年2組の様子を面白半分に除いている。

だが誰も名乗り出ない。やがて昼休みはあと10分になった。

やがてポツリと誰かの声が聞こえる。

「相田(あいだ)がやったんじゃね?」

相田英架(あいだえいか)。真法舞踊部所属。

「確かに。俺そういえば昨日相田がゴミ捨てるとこ見たんだよね。」

憶測が憶測を呼ぶ。網田は何も言わない。

その憶測は当然本人の耳にも入る。そして、

「相田、お前がやったんじゃねえの?」

ド直球に質問する人間が出てきた。

「え?なに、なんで。」

当然相田は否定する。

「そうだ相田あんたさあ、部活終わった後コーラみたいなボトル持ってどっかいったでしょ。」

そう言ったのは愛伊奈だった。愛伊奈はまっすぐ相田を見ていた。

「え、あ、そう、そうです。私です。」

「はあああああ!?」

犯人が見つかると、クラス中から失意と恨みの声が次々と聞こえてくる。

「なにやってんだあいつ。」

「おかげで昼休み潰れちまったじゃねえかよ。」

「てかあいつ俺が言うまで隠し通す気でいたぞ。」

網田はこう言った。

「おせえよお前!5限のあと職員室に来い!」

昼休み終わりのチャイムが鳴った。

教室内は相田の恨みで充満している。

「ふーん。」と優はなんとも言えない表情をした。

そして放課後、真法舞踊部。相田の姿はまだない。

この時期の舞踊部は、ウィンターコンクール団体の部に向けて練習中だった。

「相田はまだ来てないの。」と優。

「うん、まあいいじゃん。てかあいついないほうがウチらいいダンスできるよね。」と3年の部員。

「そうなんかね。」

現実的に言えば、相田は超が付くほどの足手まといだった。

そもそもの運動神経はないし、真法は明後日の方向に飛んでいく。

個人の部ならまだしも、団体の部でこれは致命的だった。

さらに言えば、ことウィンターコンクールにおいて団体の部というのは、"部員全員参加"が絶対条件である。

病欠など特殊なケースを除いて、部員の選抜は認められない。

つまり相田一人によって、団体ダンスのレベルは著しく下がる。

「ん?」

相田だ。泣きながら、鼻水をすすりながらこっちに来た。

「あーあ来ちゃったよ。」と愛伊奈が。

そして顧問の坂戸も来る。

「よし、今日もウィンターコンクールに向けて練習やります。とりあえず優部長の掛け声で準備運動から。」

3年の部長、副部長は二人とも難関校受験のために引退している。

世代交代の意味も兼ねて、2年の優、愛伊奈がそれぞれ部長、副部長を任命された。

こうして練習は"いつも通り"はじまった。

いつも通り相田が足を引っ張り、坂戸は応援する。

周りの部員もそれに合わせて応援する。

そして練習はいつも通り終わった。下校の時間だ。

「相田、いつも通りの場所ね。逃げるなよ。」と愛伊奈。

相田はいつも通り、その場所に一人で行く。

待っているのは愛伊奈、その他5人の部員。3年生も少しいる。

「とりあえず"真法12連発の刑"いきますか!」

「いーち」

6人で交代交代で真法を打ち込む。

「痛っ!」

「はは、痛っだっておもしろっ。」

「愛伊奈、そろそろコーラあけていい?」

「うん、いいよ。」

プシッ

という炭酸の音が聞こえる。

「やっぱ学校で飲むコーラは違うね!あはははは!」

「あははは!でしょ?あ、そうだ昨日あたしさー、コーラのゴミ2組のゴミ箱に捨てちゃってさー。」

「あはははは!あれね!見た見た!」

「バレそうでやばかったわー。さすがに学校で捨てるもんじゃないね。」

「あれ結局どうなったの。」

「いやーウチの男子がさー相田のこと疑い始めてさー。そうかその手があったか!と思って全部相田のせいにしたわ!

あははははは!」

「あははははは!ウケる!」

「相田ナイスじゃん!よかったねあたしらの役に立てて!」

「これからペットボトル見つかったとき全部相田のせいにしよっかなー!あははは!」

「さすがにバレるからやめたほうがいいって。あははは。」

相田の涙はとっくに枯れていた。


翌日は、平和な一日だった。なにかトラブルがあるわけでもなければ昨日のように犯人探しに躍起になることもない。

ただ少し違うのは、相田に対する視線。それは敵意とか恨みとか、そういった感情を強く感じる視線。

会話の内容までは分からないが、会話の中にところどころでその視線を感じ、"相田"という単語が節々に聞こえてくる。

無論相田にも友達はいる。3人いる。その3人は固まって談笑している。相田はその友達に声をかける。

「あ、ねえ聞いて、あのさあ。」

「......。」

まるでその場にいない人間かのように、3人は談笑をやめない。相田を全く話に入れようとしない。

「ちょ、ちょっとねえってば!」

「うるっさいな」

3人は相田を拒絶した。そこに愛伊奈が割って入る。

「いいっていいって君たちの時間潰した相田に構わなくっても。」と愛伊奈。

「確かに、ちょっと離れようよ。」

そうして3人は相田から物理的に距離をとった。

その光景を見た優は、「ふん。」とどこか不満げだった。

「どうしたの優ちゃん?」

「いやなんでもない!てかさー今日の体育だるくね?」


体育の前の10分休憩のとき。このタイミングで男子と女子は体操服に着替える。

男子は2組、女子は1組で着替える。

「お前さ、昨日オナニーした?」

と下世話な話をしているのは2組にいる男子たち。

「したした。」

「お前さ、女のどこが好きなん?」

「おっぱいとマンコ。」

「なんだよ普通だな。」

男子の声がでかいのもあるのか、そういう話の内容は隣で着替えている女子の耳にも少し聞こえてくる。

「やだ男子キモー。」

「思春期だねえ」と、拒絶したり、達観する女子と反応は様々だ。

「そういえばさー井魔戸にラルコっていうアパレルオープンするんだけど知ってた?」と優。

「え?ラルコオープンするの!?」と愛伊奈。

「うん、そうらしいよ。でさ...」と優は喋りながら愛伊奈を見ていた。

喋ってるから愛伊奈のことを見ているのではなく、愛伊奈を見たいから喋ってた。

愛伊奈の挙動や視線を見ていた。

ここ1カ月、愛伊奈の挙動はどこか不自然だ。

体育のとき、首や視線は前じゃなく横を見ている。その視線の先は、おそらく1組の伊部空戸。

そして着替えのために1組にいるとき、なんなら今も、伊部空戸の席をチラチラ見ているかのような視線の動きをしている。席というか椅子か?

そして、

「伊部、お前は女のどこが好きなん?」

漏れてきたその声に反応するかのように、愛伊奈の体と視線は無意識に2組側のほうを向いていた。

「俺にも聞くのかよ。俺もやっぱりおっぱいとマンコかな、あと尻も好きだな。」

愛伊奈は優の話ではなく、2組から聞こえてくる話に耳を傾けていた。

「そんじゃ、愛伊奈体育館行こっか。」と優。

「え?うんそうだね。」


そして放課後、さらに部活終わりの午後6時30分。

愛伊奈とて毎日相田をいじめてるわけじゃない。当然部活終わりで帰るときもある。

だが最近の愛伊奈には、部活終わりに相田をいじめるわけではなく、かといってすぐ帰るわけでもない日があった。


午後6時33分、1組の教室をガラッとあける愛伊奈。

教室には誰もいない。愛伊奈は午後6時30分以降は誰もこの教室に入ってこないことを分かっていた。

教師がカギをかけに来る午後8時までの時間、愛伊奈にとってこの時間がゴールデンタイムだということも理解していた。

伊部の席にまっすぐ向かう。そしてスカートとパンツを脱いだ。この動作は手慣れている。

そして伊部の椅子に、自分の股をこすりつける。はあ、はあと息を荒げながら何度もこすりつける。誰も教室に来ない。


優が1組ドアの向こうにいた。ドアのガラスから見ている。


そしておもむろに自分の胸を触る。触りながらこする。より激しくこする。誰も見ていない。


優が携帯を取り出し愛伊奈に向けている。


そしてとうとう上もすべて脱いで素っ裸になり、

その状態で胸を触りながら、激しく股をこすり続けた。ここまでしても誰も見ていない。


優はずっと携帯越しに見ている。


そして襲ってくる快感に身を任せてこすり続け、果てた。ため込んでた欲を出し切ったという開放感があった。

ここまでしても誰も見ていな

「見いちゃった♪見いちゃった♪」

心臓がゾッとした。すぐドアのほうを見ると、優が。

優は携帯をしまう。愛伊奈は文字通り丸裸。

そして優が容赦なくドアを開ける。

体から変な汗が出てきた。強烈な寒気も感じてきた。

「あたしオナニーしたことないから分かんないけどさ、何考えてそこまでオナニーするの?ねえ?」

「おっぱいとかマンコとか言ってる男子のほうがよっぽど分かりやすいよ。なに椅子に興奮してんのお前。」

「あ、椅子じゃなくて"伊部空戸の椅子"かあ。ちょっと見してみ?椅子湿ってんじゃないの?」

怖い、怖い。愛伊奈の頭の中は、この状況をどう切り抜けるかで必死だった。

だがどれだけ頭をフル回転させても、打開策が一切思いつかない。絶望的だ。

「あとさっきの携帯で撮ったからね。いやー良いの撮らせてもらったよー。」

携帯?

「ちょっと!?それ校則違反でしょ!」

「校則違反ならなんなの?」

「先生に没収されるよ!」

「じゃあ今撮ったやつも見られるけどいいんだー。」

「......!!」

「網田とかに没収されようかなー。」

「やめて!!」

「やめて欲しかったら相応の態度ってもんがあるんじゃないの?」

「え?態度?」

「敬語。」

「.....やめて.....ください。」

「え?」

「やめてください!誰にも見せないでください!」

「もう、そこまで頼まれたらしょうがないなー。」

「まあ安心してよ。今後あたしに一切逆らわないなら、誰にも見せないからさ。」

「.......!」

優はこう続ける。

「世の中、結局は暴力だよ。」

「いじめが良いか悪いかはさておき、お前が"いじめる側"にまわれると思うなよ?」



翌日、愛伊奈は登校する。

「おはよー愛伊奈!」

「おはよう優ちゃん。」

「ねえ見た?昨日の....」

今のところは何も変わらない。意外と何もしてこない。

相田は...いつもの友達3人と喋っていた。


1限の授業、社会。

愛伊奈はいつも通りにしている。

いつも通り教科書を開き、ノートを開き、先生の話を聞く。

「痛っ」

突如頭に痛みが走る。頭痛とは別種の痛みだ。

「えっ?えっ?」

頭上を見る。なにもない。

だがまた

「痛っ」

今度は背中に痛み。上から貫かれたような痛みだ。また頭上を見る。

すると今度は頭上に何かがあった。氷だ。

透明で鋭利な氷が頭上にあった。だがすぐに消えた。

「狩崎、どうした。」と教師。

「いやなんでもないです。」

その痛みと氷の正体はサルでもわかる。真法だ。

そしてその真法がどこからでているかといったら、やはり優。

でもどうすることもできない。

10分後にまた"痛み"が走る。今度はさっきとは違う、大きな痛みが連続で走る!

「痛い痛い痛い!」

「おいどうした狩崎!どっか痛いのか!」

優はほくそ笑んでる。バカにしたような笑みを愛伊奈に向けている。

「いや、なんでもないです。」

「なんださっきから。」

こうして地獄の社会が終わった。いつもの社会より10倍は時間が遅く感じた。

だが地獄の一日は終わらない。トイレから戻ってきた優は、愛伊奈の席を横切るやいなや、

愛伊奈の筆箱を腕ではじいた。当然筆箱は中身ごと床に散らばる。

「あ、手が滑ったごめーん。」

だが優は拾おうとしない。周りの人間も。

優はそのまま普通に友達と喋る。

「あははははは!」と友達と喋って優は笑う。

「......!」その笑い声が、悔しさ、惨めさ、憎悪を嫌ほど感じさせた。

だが優には逆らえない。

だからそのどうしようもなく嫌な感情は、相田にぶつけることにした。

それが一番できるのは部活終わり。

「相田、お前いつもの場所に来いよ。」と、いつもと同じ文句で呼び出す。

「え?なに、いつもの場所って。」そう口にしたのは、普段相田を一緒になっていじめてる3年。

「いやいつもの場所でいつものことするんでしょ。」

「え?なにタメ口?しかもなにいつものことって。まさか相田をいじめてるの?坂戸先生ー。」

「は?え?なんで?」

午後6時半だというのに坂戸に職員室まで呼び出された。

「優部長から聞きました。相田いじめてるんだってね。」

「あ、いや、違いますよ。私たちいじめなんかしてないですって。」

「じゃあいつもの場所ってなんなんだよ。」

「遊びに行くからいつもの場所ってことです。」

「嘘つくんじゃねえよ!!!」

バアンと机を叩いた。

「みんなお前がいじめてるって光景見てるんだよ!この期に及んでまだ嘘つくか!!」

「いやでも私だけじゃないですって!ほかの部員だって」

「いまお前の話をしてるんだ!」

「職員室の前のポスター見たことあるよな!」

「え、はい。」

「いじめ見逃し0のポスターだよ!あれが見えてるのに平気でいじめるってどういう神経してんだお前は!!」

「とりあえず後で親御さんにも連絡を入れます。二度とこういうことがないように。」

「え、でもそれは。」

「ダメです。一度親御さんともじっくり話し合ってください。」


こうして愛伊奈が職員室を出るころには、涙とか鼻水が乾いた真っ赤な顔になっていた。

家に帰っても、親から死ぬほど怒られた。地獄だった。

翌日、学校なんか行きたくなかったが、行くしかなかった。

2組のドアを開けると、みんなの視線は一斉に愛伊奈に向く。決して暖かい視線ではなかった。

そうしてまた喋る。今度は狩崎、狩崎と談笑の端々にそう聞こえる。

それは相田も同様だった。

そして朝礼が始まる。

「えーっとおとといの話の続きなんだけど。あのペットボトルの件な。」

「知ってる奴もいると思うけど、あれ実は狩崎がやってたんだそうだ。なあ狩崎。」

「え?」

「え?じゃねえよ。全部知ってんだよ。相田いじめてペットボトルの件相田に押し付けただろ。」

「いやそんなことは」

「嘘つくんじゃねえよお前!お前と取り巻きたちでコーラ飲んでいじめてる映像があるんだからな!」

「え?映像?」

「ビデオ?どうがって言うのかな。携帯で撮った映像が先生にもクラスのみんなにもメールで送られてきてんだよ!」

「あ、え、なんで。」

「取り巻きたちもあとで注意するけど、一番はお前だろ!」


こんな時間は朝礼中ずっと続いた。

愛伊奈はもう半泣きだった。だが同情する人間は誰一人いない。

10分休憩中、愛伊奈と会話するものは誰もいなかった。

そして1限、国語。

「うっ」

また痛みが飛んできた。もちろん真法だが、発生源は優じゃない。

それは真後ろの男子から飛んできた。

「先生!こいつが!」

「今は授業に集中しなさいよ。あんたたちほかのクラスより国語が相当遅れてんだから。」

「.....はあ...?」

そのあともひたすら真法が飛んできた。もちろん優もやってるが、昨日より大勢で。四方八方から真法が飛んできて勉強どころではない。

優はずっとほくそ笑んでた。

「それに対して主人公の心情はなにか、はい狩崎!」

「え?は、はい。ええっと....。」

「ちょっとなんでこんなのもすぐに答えられないの。ちゃんと授業聞いてた?」

「あ、いや...。」

「もういいや。相田。」

「はい。主人公はこのとき...」


こうして1限が終了した。そして10分休憩。

「おい狩崎。」と横から。

「なに。」

「あの映像見たぞ。相田あんなにいじめてかわいそうだよ。なあ、相田。」

「うん、すごく痛かった。」

「相田、こいつぶん殴ってやれ。」

「は?なんで」と愛伊奈。

「え?いいの。」

「おう、どこでもいいから殴ってやれ。じゃねえとお前のやられたことと釣り合わねえだろ。」

「ねえちょっとやめ」

ゴッと顔のど真ん中を殴られた。痛い。全力で殴られた。

「おお、いいねー、顔のど真ん中!」

「ふっ...ざけんな!」

愛伊奈はとうとう相田に襲い掛かる。しかし。

「おっとぉ!」

すぐ取り押さえられる。

「あぶねえ。優!頼むー!」

「あいよー。」

「あたしが部長として"しつけ"しないとね。」

そういって優は真法を出す。そしてそれをぶつけようとする。

真法は痛みを生じるが、優の真法はずば抜けて痛い。

優の真法だけは喰らいたくなかった。耐えられなかった。

「分かった!分かった!ごめん!ごめん!」

「ごめんなさいでしょ。」

「ごめんなさい!ごめんなさい!」

もはや何に対して謝ってるのかわからなくなった。

こんな調子が学校にいる間は四六時中続き、家に帰っても同様に親に怒られた。


そうして愛伊奈は翌日、さらにその翌日と土日の部活も来なかった。

土日が明けた月曜日、満を持して登校した。そして教室のドアを開け机に座ると、まず机の異常に気付く。

"淫売女"とか"売女"とか"ペットボトルマン"とかそういう罵詈雑言が、落書きのようにびっしりと机に。

しかもそれはペンではない。彫られていた。彫刻刀か何かで。

「ああ、ごめん愛伊奈ー。愛伊奈が休んでた時にその机で彫刻刀使ってさあ、手が滑っちゃった!」と優。

「あははははははは!」と笑う。そこには相田も。一緒に笑ってた。

まるで優のグループから愛伊奈が抜けて、かわりに相田が入ったかのように。

彫られてガタガタの机で勉強できるわけがない。しかもこの落書きみたいな机は隠さなきゃいけない。

必死に教科書とかノートとかおいて何とか隠そうとしたが、優たちによってあっけなく落とされた。


ところで、なんで淫売とか売女とか書かれてるんだっけ。ああそうか思い出した。

優に携帯で撮られたやつ、ばらまかれたんだ。じゃあなんで私こんな目にあってるんだっけ。

愛伊奈はそのくらいの思考しか頭が回らなくなっていた。

その1日以来、愛伊奈は学校に来なくなった。


それから2週間が経った。

「ねえそういえばこの前ラルコができたじゃん!」と優。

「あーあそこね。」

「あたし昨日家族であそこ行ってきたんだよね!紫のパーカー買ってもらってさあ。

母親が、まだ成長するから大きめのやつにしたほうがいいって言ってさ、そっち買ってもらった。」

「ええいいなー。」

「今度ラルコみんなで行こうよ!」

「えーあそこ高いじゃーん。」

と何気ない会話に花を咲かす。

相田の席は、窓から近く、景色がよく見える。最近はそこに集まって駄弁っている。

特に優は、窓からの景色を見ながらしゃべるのが好きだった。

「ねえ優ちゃんラルコでわたしの服買ってよー。」

「えーどうしよっかな。」

外はいい天気だ。いい青空だ。


外は青空のなか、愛伊奈が逆さに降ってきた。

「え?」

ドスンッ!!

と鈍く、かつ大きい音が外から響いた。

ちょうど優たちの窓の真下。

見ると頭が吹き飛んでいて胴体だけの生徒が。

飛び散った血は地面を赤く染めている。

「おい!誰か死んでるぞ!」

「あれ屋上から落ちてきたんじゃね!?」

「あいつ誰だ!?」

と二年生は混乱と高揚のような騒ぎに包まれていた。


「優ちゃん、あれって...。」と相田。

「え.....あ.....え.....。」と優はしばらく声が出ない。

動かない口をすぐに噛みしめて、優は言った。

「いや、これでいいじゃん!あいつ相田ちゃんを地獄に突き落としたクズだよ!?

あんなやつは、どうせ反省もしないよ。実際あそこまで徹底的に痛めつけないと、また相田ちゃんをいじめるところだったし。

やっぱりさ、...世の中結局は暴力なんだよ。あたしたちの手で、あのどうしようもないクズを"潰した"んだよ。」

そうして優は手を上にあげる。

「イエイ!」とハイタッチを求める。

そして微妙に気のないハイタッチをみんなと交わした。

そして優はまずいことに気が付く。

「玲....!玲!!」

玲にこれを知られるわけにいかない。1年に今のこの情報を伝達させないようにしなければならない。

この笹羽中という校舎、そして教室の位置関係の構造上、2年の教室と3年、1年の教室までが物理的に遠いということもあり、

それに伴って情報伝達のスピードも遅くなっている。

今の状況で言うと、1,3年は死体の現場を見たどころか、誰かが屋上から降ってきたということすら知らない。

だから手を打つのは今しかない。玲だけには知られたくない。

1年から2年の教室に向かうすべての導線に炎真法を敷き詰めた優。

この炎真法はかなり強力で、触れればしばらく動けないほど痛いし、生半可な水真法では消せない。

こうして物理的にシャットアウトすることによって、情報を完全に遮断した。

騒ぎを聞きつけた教師が走り、現場を確認する。

もちろんそれまでの導線に真法はしかない。

死体を確認した教師はそれをブルーシートでくるみ、どこかへ移動した。

それを確認した優は真法を解いた。


結局この件は、屋上の柵が腐食したことが原因による事故死で片付けられた。



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