そう、これは 違う目的地へ私を誘う魔法、ある夏の日の幻想(ゆめ)

 ガタンゴトン ガタンゴトン


 田舎を疾走はしる特急列車は、矢鱈と揺れてしかも五月蝿い。


 まだ「朝」と呼んで差支えない時間なのに、既に日は高くそして凄く暑い。


 窓越しに陽の光が射し込めば、じんわりと汗が滲む。


 蒼い空と白い雲を背にした濃い緑の山々を見ただけで、つんざくような蝉の鳴き声が幻聴こえる。


 あの山を登りに行くもの悪くない。


 まともな登山などやった事は無いが、ひたすらに木々生い茂る中を歩くのは気持ちがいいだろうな。


 私は今、別の私へと生まれ変われるかも知れない。


 この先は我慢も苦痛もしがらみも無い、自由な世界が待っているのだ。


 ああ、現実世界になんか帰りたくない。




 間違えて、逆方向の特急に乗ってしまったorz……

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