炎天下 あの場所へ向かう道すがら 影法師の足取りも重く

 もう少し、早く思いついていればよかったのだろうか。

 いや、逆にもう少し様子をみてもよかったのではなかろうか。


 兎に角、行きたくないのだ。行くのがとてつもなく憂鬱なのだ。

 病院に行くのが。




 異変に気付いたのは2ヶ月程前のこと。

 とある場所が、尋常でなく痒いのだ。堪らなく痒いのだ。しかも、人前で掻くのを憚られる場所が痒いのだ。


 市販の薬を試してみても治まらないし、ネットで調べたら恐ろしい事ばかり書かれてあるので見るのを止めた。


 最後の手段…っていうか、本来は先にそちらへ行くべきだったのだろう、病院へ覚悟を決めて向かっている。


 しかも、道程が厳しい。

 最寄りのバス停で降りたはずなのに、かなりの距離を徒歩で異動しなければならないみたいだ。


 道の両側が、だだっ広い田んぼが延々と続いてる中をひたすら歩く。

 全く日陰が無い。なんて道だ。


 近くの病院に行きづらいからって、遠くの行ったことも無いような病院にしたのが、まず敗因だな。でも仕方ないし。


 母に頼んだら車を出してくれたのだろうけど、先ず母に事情を話すのが嫌だった。

 なので、自力で行くしかない。病院に着く前に溶けて無くなりそうだがw




 このままでは救いようがないので、楽しい事を考えながら歩く事にした。

 そうだ!無事診察が終わったら、何か自分にご褒美をあげよう!


 何がいいかな?

 スイーツ…そう、スイーツ!!!

 それも、冷たいスイーツ、大きなパフェとか!

 それともかき氷、2000円くらいするテレビで芸能人が食べてるようなヤツ!


 それから…

 服が欲しい!!!

 可愛いの、沢山!

 貯めてたお年玉から3万円くらいパーって、全部服につぎ込むの!


 それからそれから……


 あ、着いた。




 診て貰った結果、只の皮膚かぶれでしたw

 専用の塗り薬を頂いて、朝晩含め1日数回塗布すればそのうち治るそうです。


 ああ、こんなことなら早く病院に行けばよかった…

 自分へのご褒美は、帰りにコンビニで買ったアイスで満足しました(笑)


 安堵感に勝るご褒美は無いって事ですね、アイスはとても美味しかったですがw



 

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