フロートを シャリシャリしていたいずっと 日が暮れるまで
「まずは、何から始めようか」
「……日記」
「日記!?なんで、日記?」
「いちばんめんどくさい」
「いや、もっと普通の宿題から始めようよ~、数学の計算問題とか、漢字の書き取りとか」
「ううん、日記!」
あの日に連絡先を交換して、何度かメールのやり取りをしてからの、数日振りの再会である。
お互い家では宿題が捗らないので、陽葵のお薦めの喫茶店で勉強会をする事にした。
「よくこんな店知ってたよね~、レトロポップってのかなぁ、めっちゃ可愛いお店だね!」
「お父さんによく連れてきて貰うの。穴場?ってのかな、あまり混んでないからゆっくり出来るの!」
色合いは全体的にパステルカラーで、壁には古き善き時代のアメリカンなイラストが飾られ、所々アクセントに掛けられているネオンサインがどこか懐かしくて可愛い。
物凄く写真撮ってSNSにあげたい…けど、バズって混むようになったら困るので止めた。
結局陽葵は日記を片付ける事にしたので、私も淡々と……いや、陽葵に邪魔されながら(笑)英語の問題集をやっつけていった。
「そろそろ休憩しようよ~、私クリームソーダね、まなつは何にする?」
「うーん…コーヒーフロート」
同じくクリームソーダにするか迷ったけど、カフェインでドーピングして集中力を高めたかったので。
「美味し~、生き返る!」
「いや、陽葵遊んでばっかだったじゃんw日記は進んだの?」
「3日分は書けたよ!ってか、中学生にもなって日記とか、ありえないしw」
「確かに。うちの中学はそんな宿題出てないよw」
陽葵とは校区が違うので別々の学校に通っているけど、同じ中学2年生だ。
クラスメイトとの付き合いより、何というか気楽に緩い感じで付き合えるのがいい。
彼女自体が気楽で緩い性格だからこそ、なのかもしれないけど。
「この、アイスと氷の間の部分…何て言うんだろ?この、シャリシャリが大好き!」
「何て言うかは知らんwけど、私も大好き!!」
「何だっけ?アイスバーンとか?」
「全然違うよ~、それだと不味そうだよw」
「えー、それならまなつが何か名前考えてよ!」
「もう、シャリシャリで良くね?ってか、ググってみよ!……やっぱ、シャリシャリじゃんw」
「シャリシャリかぁ…それが王道なんだね」
「何か、国民的な漫画描いてる人も、同じような事漫画で描いてたみたい…うわ、私達が生まれる前だ!凄い!!」
「そっか、そんな昔からシャリシャリかぁ」
「そう、そんな昔からシャリシャリなんだね」
2人で、アイスのシャリシャリを存分に堪能しながら、そんな緩い会話をだらだらとしていた。
故に
当然、宿題は全く進まなかったのであった。
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