ギリギリ★まで頑張って
「で、結局押し切られてしまったわけだが」
大学近くの行きつけの喫茶店の喫煙席に、アンノジョー監督と馬道先輩を除くシン・アルティマズィーベン製作委員会の面々が集まっていた。
大学創立以来代々続く老舗は、とにかくカネがない彼らの強い味方である。
「仕方ねーよ、先輩のあの映画には逆らえねえ」
「だな……」
シケモクを燻らせ、ため息と紫煙を吐き出す。
「ミニチュアと着ぐるみはアンノジョー自身がこさえてくる。脚本は馬道先輩と二人でなんとかするだろう」
「オレらの目の前でイチャイチャしながらな……」
「ちくしょう、やっぱ許せねえアンノジョー。おれらの一番星を……!」
「落ち着け、灰皿の中身を摘まむな。ポテトはこっちだ」
脱線しかけた話を戻すべく、一人が咳払いした。
「一番の問題はやっぱり主役と、ヒロインだ。他の役は俺たちスタッフの持ち回りでなんとか出来るが、華のある役者となると……」
「数少ない俳優が他の監督に取られてっからな……」
「どこかにアンノジョーの要求レベルの演技が出来て顔のいい学生、転がってねえかな……」
「バカ、んな都合のいいやつがそこらにいたら……」
「バカ!
寂しかった!」
頭を抱える彼らの耳に、切迫した声音が飛び込んできた。
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