観測史上最大の侵略
「僕はね、人間じゃないんだ」
「七重連太陽系から地球の観測のために来た外星人、アルティマズィーベンなんだよ!」
熱に浮かされ悲鳴をあげる体を押して最後の戦いに臨まんとするスバルは、思いを寄せ合うヒロイン、リリィに自分の秘密を――自分が今まで正体を隠して侵略者からこの星を守ってきた、外星人であることを、告白する。
ダダーン、とドラマチックなピアノの効果音。
背景のスクリーンにスバルとリリィ、二人の影のシルエットが黒く焼き付く。
逆光の中、二人だけの世界で、リリィはまっすぐにスバルの瞳を見つめ返す。
「でも、スバルはスバルじゃない。たとえ50メートルの巨人だろうと、外星人だろうと、私たちの仲間の、スバルよ」
彼女の言葉は、長い戦いと葛藤における一つの答えであり、救いでもあった。
「リリィ……」
見つめ合う二人の距離が、互いに一歩近づく。しかし、そのささやかな交感すら許さないというように、大地が揺れ、空が燃える。
名残惜しさを振り切り、スバルは空に迫る敵を見据えた。
「ありがとう、リリィ。僕はもう一度戦うよ。
これが最後の戦いになる……全てが終わったら、明けの空にシリウスが上っていく。それが僕なんだよ」
「待って、スバル。その体でまた戦うなんて」
引き留めようと伸ばした彼女の手は空を切る。身を翻したスバルの手には、サングラスの形をした変身道具。
「唐木班員が、ピンチなんだよ!」
迷いを振り切るように、スバルは宣言する――スバルという個人として、地球を愛する外星人として。
最後の変身。スバルが顔にサングラスをかざす――
そして、場面が光に包まれ、暗転する。
「カァット!!
OK!! 最高です!!
今のはめちゃくちゃよかった!!」
照明にしぶきがきらめく。メガホンで叫んだ監督の口から飛んだ唾液だ。
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