ついにゲット!?

 イヤになって彼氏と別れたいのに付きまとわれるという彼女の縁切を成功させてからというもの同種の相談が立て続けに舞い込んだ。片っ端から拗れた縁を切り捨てるうちに『お悩み相談室』は評判になっていった。

 評判はさらなる依頼を呼び込み、一時はバイトを休んでまで奔走する羽目になった。

 それでいて、平気で学生の本分をサボる小雪とは違い、単位は落としたくなかったので講義には出て……となるとまさに目も回る忙しさだ。

 そんな中、フラフラになりながらその日のタスクを片付けて寮に戻ろうとすると、


「の~ぞ~み~ちゃんっ!」


 背中から抱きすくめられる。しばらく複数の依頼を二人で分担していたため、実に一週間ぶりに出会ったことになる。いつもなら小雪をひっぺ返してそのまま一本背負いでも極めるところだけど、限界まで疲れていたのでその温もりに身を任せてぼそりと呟くしか出来なかった。


「うわでた……なんなのよ」

「ついに手に入ったで! ウチらの楽園。さ、いこか」


 小雪は珍しく上気した顔で手を取ると、学生会館の方向に引っ張っていった。

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