とうとい(ダイニングメッセージ)

「おーはるもみ。来とったん?」

「ちょ、なに描いてるのよ!?」


 余裕たっぷりな小雪せんぱいと切羽詰まった望海さんの対照的な声音すら耳に心地よい。


「ふへ、ふへへ……こんなに美味しいネタを目の前で繰り広げてくれるなんてお二人にはほんと頭が上がりませんよ……あ、おかまいなく続けてください、私は壁のシミかなんかだと思ってくだされば」


「な、なに勘違いしてるか知らないけど違うからね!

正座で足が痺れて立とうとしたらコケただけだから!!」

「ウチもそうやで~偶然たまたま、ふたりして足痺れたからこうなったんや」

「アンタは面白がって覆い被さってきたんでしょうが!」

「それはそそるカッコしとる望海ちゃんが悪いわあ」

「知るか! 早くどけって言ってるでしょーが!」


 キャンキャン吠える望海さんと、それをにやにやと楽しむ小雪せんぱい。

 嗚呼、筆が止まらない。鼻血がでそう……


 その後、一連のどたばたで茶道部の部長さんには怒られたけれど、私の執筆はこの事件でたいそう捗ったのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る