入学式!

 四月。今度は新入生として、桜の咲くキャンパスにわたしは立っていた。


「うわあ……」


 手のひらに降り積もったビラの山に思わず声が出た。噂には聞いていたけど、「入学式」と看板の掲げられた正門をくぐった瞬間、新入生勧誘の雨あられがこれ程なんて。


(……部活にサークル、かあ)


 正直なところ、実家を出て一人暮らしを始めたのもあって、出ていくほうよりお金を稼ぐほうを先に決めたいところだ。

 そんなことを考えていると、ウチとサークルやろ!と話しかけてきた白黒女を連想した。

 講堂に密集した新入生をなんとはなしに見回す。あの輝くような白い髪は見当たらない。


(アイツ、こゆきとか言ったけど……結局落ちたのかしら)


 そのほうがこれからの大学生活が楽になるに決まっているのに、妙な座りの悪さを感じる。


「ふふ、ウチのこと探しとったん?

の・ぞ・み・ちゃん♪」


 だから、いつの間にか隣のパイプ椅子に現れて耳元に囁かれ、わたしはすっとんきょうな声を上げた。


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