巨大メカも生身で狩れる赤眼美少女ダンジョン配信者
「まずは新衣装、行くウサ!」
配信開始の挨拶を終えて早々のこと。
大抵の非致死性ダンジョンにある事前準備の小部屋にて卯佐美は早着替えスキルを使用していつもの
//新衣装きてぃあ!
//光魔法で身体隠してるし、早着替えスキルが高速過ぎて変身にしか見えない
//これは……なんともこのダンジョンにピッタリで
全身にピチッと張り付く光沢のある生地に胸や腰、関節等を護る
//パイロットスーツだぁぁぁ!!
//ほうほうこれはこれでなかなか…………ふぅ
//ウサミンの体型だから許されてる感あるな
//ダンジョンってか身体にピッタリ
//そこまでこのダンジョンにピッタリかな……いや、そんなことはどうでもいいな
//あれ、ウサミンのウサ耳どこいった?
「ウサ耳ならヘルメットに付いてるぺこ」
兜……いや、ヘルメットに生えるは普段卯佐美が付けているウサ耳をより機械っぽくしたメカウサ耳。背面に備え付けられた拡張性のありそうな機械部品。装飾なのか何らかの機能があるのかも分からない尻尾やカフス型の装置等が次々と配信画面に映し出される。
//カラーリングでバニー感が出てて可愛い
//白で見ればバニー、黒で見たら逆バニーになってて捗ります
//こうしてみるとやっぱウサミンて美少女なんだよな
賛美で溢れるコメント欄に気を良くした卯佐美は
「それじゃ素材集めに潜ってくっペコ~」
卯佐美はそう言うと小部屋に配置されてある端末を操作して目的の階層へと転移していく。
//このダンジョン、未来感あって好き
//ここってゴーレムしか出ませ……え?
//ロボだぁぁぁ!!
卯佐美が転移した先に待ち構えていたのはヒトの背丈を優に超える巨体を持つヒトの形をした無機物――大型
「あ、やっべ……浮かれて卯佐美のゴーレム配置するの忘れてたピョン」
//ざっと数えたけど30体はいるな
//割とマジでウサミンの十倍以上デカいんだけど
//ターン制だけど大丈夫?
碁盤状に引かれた光の線が戦場に浮かび上がり、卯佐美いるマスが淡く光る。
「卯佐美のターンからラビだけど、どうするペコかな」
卯佐美への理解度が低いリスナーには卯佐美が圧倒的不利な状況に見えているこのダンジョンは『スーパーゴーレム大戦』なる
このダンジョンの序盤は冒険者自身が戦う必要があるがドロップアイテムを集める事で魔造兵が製作可能となり、卯佐美も多数の魔造兵を用意していた。しかし、武器や防具が装備しなければ意味がない様に魔造兵も配置して出撃させなければ意味がない。
//増援でゴーレム召喚するとか
//10体揃えるにも3ターン以上かかるけど間に合うかな……
//大丈夫だろ、ウサミンだし
//とりあえず移動したら?
卯佐美が移動をしようとした瞬間、全てのマスが淡い光を灯した。
//え、は?
//もしかしてこれ全部移動範囲!?
「素材集めには部位破壊しないとラビだけど、量産機の方は余ってるぺこなんで」
腕を交差して構える新衣装卯佐美のカットインが配信画面をゆっくりと横切ると、敵小隊で同じデザインをした魔造兵の足元が赤く光る。そして配信画面上部に即席で付けられた様な技名が映ると、赤く光ったマスにいた魔造兵全ての首が落ちた。
//首狩りパーリナイて
//技名テキトー過ぎwww
//知って……いや、この展開知らない
首が落ちた魔造兵は通常なら何故か爆発四散してドロップアイテムを落とす。だが今回は違った。首が落ちても微動だにしていない。大地に転がった首だけが部位破壊判定を受けドロップアイテムへと変わった瞬間だった。
敵隊長機らしき魔造兵のモノアイが動き、頭部に付けられた角型アンテナが開くと頭部を失った魔造兵がいる全てのマスが金色に光り出す。
『
//ん?
//なんか画面上に文字出てきた
//丁寧にルビまで振ってある
『たかがメインカメラをやられただけ』『私が眼になる』『貴様、見ているな』『見える、見えるぞ!』
配信画面上部に続けざまに文字が浮かぶと同時に斜め帯型で首無し魔造兵のカットインが並び、敵魔造兵達が動き出した。
「おい、勝手に卯佐美の配信に割り込んでくるんじゃねぇピョン」
//これは……敵ながら熱い演出
//なんか一人変なの混じってね?
//これもダンライの謎技術……じゃないっぽいな
卯佐美は自身のいる
今し方連携攻撃を終えた四機とは別の四機が動き出してカットインからの連携攻撃が卯佐美を襲う。
『弾幕薄いよ』『採算度外視だ』『じゃんじゃん弾もってこーい』『撃てばよかろうなのだ!』
//流石のウサミンでもこれは避け切れないんじゃ……
//立ち止まってどうする気だろう
//ヘルメット取った!?
//あれは……眼鏡?
「
ヘルメットを脱いで眼鏡をかけた卯佐美は顔横で構えた両手ピースで眼鏡のレンズを挟んでビーム照射機能を稼働させた。
ダンジョンに反撃と認定された極太の光線は弾幕ごと敵量産型魔造兵を呑み込む。
辛うじて卯佐美の反撃から逃れた首無し魔造兵が空に活路を見出して卯佐美へと飛び掛かるが、卯佐美の反撃は終了してなかった。
「来い! 卯佐美の魔造兵!! ∀ラビットソンOOZZ!!!」
//これがウサミンのゴーレ……いや、なんだこれ!?
//混ぜすぎ混ぜすぎ
//ヒト型じゃなくてもいいんだ
//なぁ、あれキュナたん乗ってね?
巨大剣を両脇に展開し、体中に備え付けられた重火器に火を吹かせながら極彩色の光翼で飛翔するバッファロー型の
近づこうものなら巨大剣で刻み、光翼で塵に変えた。
距離を取ったとしても重武装の重火器から放たれる圧倒的な火力に撃ち砕かれる。
なお搭乗席は現状付けただけの為、乗っているキュナは飾りでしかない。
狙われていなかった為に難を逃れていた二機の魔造兵隊長機は、眼前に繰り広げられる地獄絵図を前に変形して逃走を図る。
「何処へ行く気ぺこ?」
『『――!?』』
//驚いてるカットインまであんの!?
//残念、ウサミンからは逃げられない
//あ、また変形した
覚悟を決めて再度ヒト型へと変形し卯佐美に襲い掛かる魔造兵隊長機達だったが時既に遅し。変形と逃走でターンを消費し、今は卯佐美のターンである。
「首とその他諸々置いてくウサ」
首と名の付く部位が落ち、続いて肘膝肩と関節が綺麗に分離。そして胴や腰、背面のバックパックに至るまで部位破壊されてようやく隊長機の魔造兵は爆発四散して恐怖から解放されたのだった。
//イトノコイトノコ四肢ダン! ダン!
//ゴーレムにも感情あったのかな……モノアイから漏れるオイルが涙みたいだった
「よっしゃー、やっと出たラビ『変形機構』と『搭乗ユニット』! これでようやく∀ラビットソンOOZZに乗って動かせるペコ~」
//おめでと~
//マジか、このダンジョンって進めるとロボットに乗れるんか
//そういえばなんで新衣装ってそれになったの?
「ああ、この新衣装はこの間の
//あ~欲しいモノが出るけどスコアによっては叶え方が変わるって聞いた事ある
//それは残念
「それじゃ今日の配信はここまでにするウサ。
//おつウサ~
//おつラビ~
//おつピョン
――本日の配信は終了しました――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます