第3話
注:麻美視点
ㅤアタシは加奈のことが好きだった。というよりは、気になっていた。彼女は美人で、頭が良くて...でもこれしか出てこない程関わりが無くて。アタシから話しかけたら『私、貴女のような人嫌いだから』と逃げられてしまった。元々ストレスの溜まりやすいアタシは、そんな態度にムカついたので、アタシは彼女を虐めることにした。我ながら中学生男子がやりそうな、くだらないことをしていると思いながら。
ㅤ最初は嫌がらせだった。靴のロッカーに画鋲を入れたり、机に落書きをしたり、教科書を隠したり。でも加奈は嫌な顔1つせず、なんなら楽しんでいるようだった。画鋲は袋か何かに入れて保管し、机の落書きはそのままに、教科書は彼女にとって要らなかったらしい。やってるこっちも楽しくなってきて、だんだんエスカレートしていった。
ㅤ気がつくとアタシは加奈のことを殴るようになっていた。殴った瞬間の快感で“アタシはこれ以外のストレスの逃げ場を失くした”ということと、殴られた後の加奈の表情で“彼女はアタシ以上に楽しんでいる”ということをアタシは理解してしまった。あの頃の加奈はどこに?いや、今アタシに見せるあの加奈が本物なんだ。暴力を振るうアタシが好きな彼女が。
ㅤそういえば先日は加奈が吐いてしまったので止めてしまったが、次からは吐いても追い討ちをかけないと。じゃないと、昔の加奈に戻ってしまう。あと、今日はアヤとかいう知らない奴と話してたな、それについても詰めないと。
ド屑たち。 相対音感 @soutaionkan
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