第48話 冷たい夜④

 アゲハはまだ薄暗い廊下を歩きながら食堂へ向かう。また料理を始める前の調理場は冷たかった。


 1人調理場に立ち尽くしながらサクの言葉を思い返していた。


「胸の奥から……闇が……」


 ぽつりと零しながらもアゲハは自分の考えを振り払うように首を横に振る。


「考えすぎですよね。きっと言葉のあやです」


 そう呟きながらアゲハは杖を振る。すると冷たい調理場のかまどに火が上がり、調理場に熱がともされ朝の忙しい朝食づくりの中に身を投じるのだった。

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