偽武士道

第1話

一、武士とは、スイーツを好む者のことである。孤独に食べ歩きを重ね、竹下通りでクレープを食べ続ける。これぞ武士が歩むべき道である。

一、武士とは、サンリオキャラクター大賞に投票する者である。主にバッドばつ丸に投票するべきである。サンリオのキャラクターを少なくとも十五は言えなければ、その者は武士にあらず。斬って良し。

一、武士とは、粉薬を呑む者である。錠剤に逃げる者は武士にあらず。苦さを感じてこそ病も癒えるというもの。然しどうしてもというのなら、錠剤を呑んでも良い。

一、武士たる者、反復横跳びが得意でなければならない。反復横跳びの技術がいついかなる場合に役立つかは不明だが、とにかく反復横跳びを鍛えるべし。鍛えぬ者は武士以前に人にあらず。斬って良し。

一、武士たる者、竹下通りを反復横跳びで移動しなければならない。クレープを落とさぬようバランスを取りつつ、然しながら最大限の速度で、竹下通りを通り抜けなければならない。どうしても恥ずかしさが勝る場合には、怪しい粉薬を呑んでも良い。怪しい粉薬はその怪しさ故、意識を朧気にし、恥を忘却させる効果が有る。然し錠剤は絶対禁止である。

一、武士でない者は、自由に生きて良い。然し武士たる者、己を律し、自己研鑽に努めなければならない。それが武士の務めである。密林の中の虎のように、孤独を感じながら。