第3話 金髪美人の継母にバブみを感じるのは間違っているのか
親父が燧グループの総帥の座から降りてからは自分の身の振り方を考えるようになった。
進学のことも、最初は公立の商業高校を志望した。経済のことを高校の時から触れて、将来アリサのサポートをするため...という建前で実際は友人が一般の商業高校は女子が多く、男子の人権がないほど虐げられるという噂を聞いたからなのだが..
マリアさんもアリサも反対したが、家族とはいえ後継者レースから外れた俺がそのような施しを受けるのは申し訳なかった。
結局、アリサが「お兄様が行くのであればアリサもそこに行きます」と言い出して、マリアさんの一言で蘭生学園に国際ビジネスクラスが爆誕した。
それを呑んだ代わりに、という訳でもないが送迎はアリサと一緒の時以外はタクシーで帰ることは認めてもらった。
本当は学生があるべき電車通学をしてみたかったのだが、「伸琉ちゃんが痴漢にあうかもしれないじゃなぁい」「そうです!アリサのお兄様なんですから、警備面でも危険すぎます!」と大反対を受け、折衷案でタクシーになった。
タクシーを下り、我が家に着く。
門扉の前にはアリサの専属メイドが立っていた。
「お帰りなさいませ伸琉お坊ちゃま」
「
「ふふっ、伸琉くんのその恥ずかしそうな反応が見たくてね」
と白い歯を見せる。
メイド服を着ていなければ、イケメンのお兄さんにしか見えない。俺の二つ上にあたり、二人きりの時はこうして砕けた話し方をしてもらっている。
「荷物持つよ」
「いや、カバンくらいだし..」
亜華羽は伸琉の持つカバンを取り上げるように両手で抱える。
「ほんと、伸琉くんは優しすぎるよ。でもね、私が坊ちゃんの荷物も持たずに屋敷に入ったらどうなります?マリア様やメイド長に私すごく怒られるんですよ」
「そこまで考えてませんでした。すみません」
「ううん。いいさ、そういうところがお嬢に好かれているんだと思うし......優しすぎてお嬢が執着するのもなんか分かるなぁ..(ボソッ」
「え?何か言いました」
「お嬢の帰りはいつかなぁ、って言っただけさ」
俺は手ぶらのまま、家へと入る。
燧家は旧財閥時代に建てたという和風の邸宅に今も暮らしている。開拓を繰り返して洋間化されてはいるが、無垢材の廊下と畳敷きの応接間などところどころに屋敷であった名残りがある。
2階へと上がると、廊下で親父とすれ違う。
「伸琉帰っていたのか」
「うん、ただいま」
「アリサはどうした」
「友達の家に寄ってるって。」
「.....そうか」
「露骨に残念な顔するなよ。泣くぞ?」
「天使の顔を見たかったな」
親父はアリサのことを天使と言う。親父曰く、アリサは親父とマリアさんの子ではなく天がマリアさんに
だだ、それはなぜか不思議と現実になる。バブル絶頂時、燧グループは全社をかけた一大プロジェクトを動かそうとしていた。あとは総帥である親父がゴーサインを出せば動くというところまできたが、親父は
「失敗しそうな気がするな。やっぱりやめるか」と突然言い出しストップがかけられた。
このことは役員や業界からもだいぶ叩かれたようだが、結果的にはその直後にバブルは崩壊し、燧グループは存続できた。仮にプロジェクトが動いていれば生存率は10%を切っていたという。計算なのか天然なのか親父は掴みどころのない人間だ。
「着替えてからそっち向かうよ」
「伸琉.....マリアのこと、ママって言ったことあるか?」
「は?何だよいきなり。マリアさんのことをママって?マリアさんから言っても俺からはないよ」
「そうか、なんか今日伸琉はマリアをママって呼びそうな気がするんだよな」
また親父は突拍子もないことを口に出す。
マリアさんのことは好きだし、アリサと平等に俺を愛してくれていることは分かっているつもりだ。ただ、ほとんど記憶にない本当のお母さんの存在がマリアさんと俺の間にある溝として存在している...
マリアさんが過保護なのではなく、俺がマリアさんの大きな愛を受け止める勇気がないだけなのだ..
**********
夕食を終え、親父が椅子から立ち上がる。
燧家にはテレビがリビングにある60型のみだ。別にテレビなんて別々に見ればいいのでは?と思うが、マリアさんが「家族で一緒にいる時間を作りましょうよぉ」と親父に言ってこの家族の時間が生まれた。
親父はいつもソファの真下、絨毯がしかれた床に横になる。
俺とアリサ、そしてマリアさんはソファに座りながらテレビを見る。
今日も俺とマリアさんはソファに腰掛ける。俺とマリアさんの間には一人分の間隔が空いてたはずだが、いつの間にかマリアさんは俺の隣に座っていた。
水色のナイトウェアを着て、アリサと同じ金色の髪は上に纏められている。
そして、マリアさんの腕が俺の腰へと回り、マリアさんの頭が俺の肩にもたれかかる。
「ママぁ今日は本当に疲れちゃったぁ。伸琉ちゃんのことギューってしてもいい?」
既にギューっと離さないように腕や脚が絡みついているが、俺は理性を保ちながら「はい」と答えた。
「やったぁ...いつもアリサちゃんが伸琉ちゃんのこと独り占めしようとすると、邪魔してくるからぁママ、今日は伸琉ちゃんのこと独り占めにしちゃおうっと」
マリアさんは俺の頬にキスをしてきた。
俺は突然のことに驚いてしまう
「マ、マリアさん!?」
「もぉやだぁ、マリアさんなんて他人行儀な呼び方しないでぇ。ママって呼んでぇ..」
いつもなら、アリサがマリアさんに弄ばれるのを防いでくれる。
『お母様だけずるい!お兄様、私も手を握ってください』
『お兄様、私の膝空いてますよ。お母様より私の膝の方がいい、ですよね?』
『お母様、呼ばれたでしょ!早く仕事行ってください。お兄様は私と一緒に観るんですから』
いつも、アリサとマリアさんの間に揉み合いになっているが、今日はマリアさんの独壇場だ。
親父は下でいびきをかいて寝ている。普段ならマリアさんに怒られるところだが、今日は俺を独り占めできることが嬉しいのか視線は俺だけに向かれていた。
「ほらぁ。こっち向いてぇ正面でギューってしてあげる」
俺がマリアさんに向き合うと、マリアさんの胸に頭を引き込まれる。そして、マリアさんの柔らかくて暖かくて大きな二つのたわわに挟まれる形になる。鼻腔には甘い香りが入り、酩酊してしまいそうだ。
その状態でマリアさんは頭を撫でながら、もう片方の手で背中をさすさすと撫で回す。まるで赤ちゃんをあやす様に....
「今はママと伸琉ちゃんだけ.....他は誰もいないのよぉ...アリサちゃんはまだ帰ってこないしぃメイドはみんな出払ったからぁ...誰も邪魔する人はいないの。だから恥ずかしがらず『ママぁ』って呼んでぇ?」
俺はマリアさんの胸の中で頭を撫でられ、背中をさすられながら耳元で囁かれて頭がおかしくなりそうだった。思考回路が正常ではいられなかった。
俺は遂に目の前の継母に呼びかける...
「ママァ...」
マリアさんはよしよししながら続ける
「よしよぉし、いい子ねぇ。もっとママ..ママぁって呼んでぇ」
ママぁ....ママぁ.....
「いいこいいこ❤︎ママやアリサちゃんに迷惑がかからないように色々考えてくれてるのよねぇでも遠慮なんてしなくていいのよぉだって伸琉ちゃんはママの可愛い息子なんだから❤︎」
ママ...ママ....ママ....ママ......
ママがおれのことをわかってくれる.....
ママぁ....ママぁ...ママぁ....ママぁ..
「もっとママの愛に溺れてぇ❤︎ママはぁ伸琉ちゃんのこと大好きなのぉ...❤︎
ほらぁママちゅきぃって言って❤︎ママぁ..ちゅき..ちゅきぃって...」
ママぁ.....ママちゅき....ママぁちゅきちゅき.....ママぁ...ママぁ....
「ふふふ、もう伸琉ちゃんってば立派な赤ちゃんでちゅね。ママのおっぱいでギューってされて、頭よしよし背中さすさすされて気持ちいいわねぇ....もっと気持ちよくなってママに依存してぇ」
ママ...ママぁ....ちゅきちゅきぃ....ママぁママぁ....
『ジリリリリリリリリリリリリリリ‼︎』
突然リビングに電子音が鳴る。
俺は驚き、夢うつつの中から抜け出す。
音の正体はマリアさんのメイド直通の携帯電話だった。
「はぁい。アメリカ商務省から国際電話ぁ...?もぅ...あと少しで伸琉ちゃんをオトセたのにぃ.....ごめんねぇ伸琉ちゃん、ママお仕事入っちゃったからここまでね。あと、パパを起こしておいてねぇ」
マリアさんはゆっくりとリビングを出て行った。
「ほらな、言っただろ。ママっていうって」
「親父!?起きてたのかよ」
「少し前にな。でも、マリアの前ではみんなああなる」
あの恵まれた体型、全てを飲み込むような母性、そして催眠をかけられているようなウィスパーボイス.....正直、あの時理性など吹っ飛んでいた。また次マリアさんと二人きりになったら完全にマリアさんの赤ちゃんにされるかもしれない。
「あ!」
そうだった!アリサが帰ってくる前に音声サイトを楽しまなければ!時計を見るとなんと1時間も経っていた!俺は急いで部屋へと向かう
「親父、ちゃんと自分の部屋で寝ろよ!じゃあおやすみ」
「あぁ」
完堕ち寸前だった伸琉はマゾ向け音声を目指し、部屋へと入って行った。
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