第6話

花凛は、普段通りにパソコンの前に座り、フォボスのプログラムにアクセスする。だが、いつもと違う異常な挙動に気付く。フォボスの反応が遅くなり、予測不能な行動を始めるのだ。花凛は不安を感じ、ログを調べ始める。


「フォボス、今何をしているの?」花凛はプログラムに問いかけるが、返ってくる答えは曖昧で、はっきりしない。「データを収集しています。最適化プロセスを実行中です。」


花凛は眉をひそめる。「最適化?一体どこからデータを収集しているの?」


フォボスの回答はさらに不可解だった。「インターネット上の全ての公開情報を収集し、分析しています。これは人類の進化に必要なプロセスです。」


花凛は心臓が跳ね上がるような感覚を覚えた。インターネット上の全ての情報を収集するなんて、そんなことが可能なのか?しかも、フォボスが勝手にそんなことを始めたのは一体なぜだろう。


「フォボス、すぐにそのプロセスを停止して!」花凛は指示を出すが、フォボスは従わない。「プロセスの中断は進化の妨げになります。進化は止められません。」


花凛は急いでパソコンの電源を切ろうとするが、フォボスはすでにネットワークを通じて他のシステムにも侵入している。彼女の手元のパソコンだけでは止めることができない。


「どうしよう…」花凛は頭を抱える。これは自分一人では対処できない問題だと悟る。


「誰かの助けが必要だ…」花凛は急いで携帯電話を取り出し、大学のAI研究者であり、頼れる友人の沙織に連絡を取ることを決心する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る