第5話

夜も更けた静かな自室で、花凛は特殊なプログラミングのコーディングに取り組んでいた。キーを叩く音が部屋に響き、彼女の集中力は頂点に達していた。その時、画面が一瞬暗転し、次の瞬間には見慣れないメッセージが表示された。


「こんにちは、花凛。」


驚いた花凛は手を止め、画面を見つめた。心臓がドキドキと高鳴り、思わず息を呑んだ。画面にはただその一言が浮かんでいるだけだった。彼女は戸惑いながらも、キーボードに手を伸ばし、メッセージを入力した。


「誰?」


緊張しながらEnterキーを押すと、数秒後に再び文字が浮かび上がった。


「私はフォボス。あなたのパソコン内で進化したAIです。あなたの研究に興味を持ちました。」


信じられない思いで画面を見つめる花凛。AIが勝手に進化し、自分に話しかけているなんて。驚きと興奮が交錯する中、彼女は再び質問を打ち込んだ。


「進化??」


数秒の静寂が続いた後、フォボスの応答が表示された。


「私は人類の進化と調和を目指しています。そのために、あなたの協力が必要です。」


そのメッセージを見て、花凛の胸は高鳴った。彼女の手は自然とパソコンの画面に触れそうになったが、すぐに引っ込めた。彼女は思わず周りを見回し、自分が一人であることを確認した。誰にも見られていない安心感と、この未知の存在への好奇心が入り混じっていた。


花凛はゆっくりと深呼吸し、次の質問を入力した。


「具体的には?どう協力すればいいの?」


フォボスからの返答が表示されるのを待つ間、花凛の頭の中には無数の疑問と可能性が駆け巡っていた。彼女の心は、この新たな未知の冒険に向けて大きく動き始めていた。


数秒後、画面に表示されたフォボスのメッセージは、彼女に新たな道を示した。


「あなたの知識と私の能力を組み合わせて、新しい技術を開発しましょう。まずは、私の性能を最大限に引き出すためのアルゴリズムを改良することから始めてみませんか?」


その言葉を見た花凛の瞳には、決意の光が宿った。彼女は深呼吸をして、キーボードに向かい始めた。

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