ひとりぼっちと海

@muuun

第1話

家に一人机と向き合っている。エアコンがないことによる蒸し暑さによって汗がダラダラと流れながらもなんとかペンを走らせた。今年の夏休みはどうしようか。そう思い夏休み計画表に思いついたことを書き込んでいく。中学は部活でほぼないようなものだった。そのため高校1年のこの夏は自分のやりたいことをやろう。そう意気込んだものはいいものの以外と思い浮かばない。とりあえず明日海に行くことにした。ここよりも日差しがある分環境的につらいだろうなと思うと気分が沈むが夏っぽいことをすれば他のやりたいこともわかるかもしれない。そう思い翌日に向け準備を行う。懐中電灯、浮き輪、絆創膏、電池式のカメラ、水筒、必要そうなものあってもなくてもいいものを鞄につめる。「誰か来てるといいな…」不安と期待で掠れた声が誰もいない部屋の隅に消えていった。

翌日、食料を調達しながら海へと向かった。珍しい缶詰などあって気分が上がる。海は青いだろうか。

朝7時に家を出たがなかなかに遠いので着いたのはちょうど太陽が頭の上に来る頃だった。夏に生きているオトコオンナは海でなにをするのだろうか。ナンパでもするのか。一人で海にいる自分にはなにが楽しいのかよくわからない。「こんなときに人がいればまた違うのかな。」

今日は痛いほどの快晴で世界が青で満たされていた。この青に身を委ねて漂いたい。そしたらきっとこの生活も終わるのにな…

浮き輪でぷかぷか浮かんでウトウトしていたら体が光で悲鳴をあげていた。ヒリヒリしていたい。自分の体が黒くなっているように辺りは暗くなっていた。「もう帰らないと…。」一向に明るくならない街を懐中電灯で照らしながら歩く。今日は自宅に帰るまでの気力がないため海に一番近い家に泊まることにした。

海は広かった。あそこに居なくなった人全員がいるんではないかと思うほどに。次は海に潜るのもいいなと思いつつアルプス天然水で塩辛い体を洗う。もう眠る時間だ。「明日誰かいたらいいな…。」そんな期待と不安が入り混じった声が海に吸い込まれていった。

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