第二話 コンビニの女神さま
彼女は【コンビニの女神さま】だ。
青い縦ストライプの制服が似合い過ぎている。
いつも会計の時に笑顔もくれる。
む、胸も……大きい。いや、名札を見た時……ちら、っと見た感じではそんな気がしただけだ。
な、名前は『御神』さん……おがみ?さんかなあ?……ぼ、僕的には『女神さま』と呼んでいる。いや、心の中でだけど。
いま、【女神さま】は別の客の対応をしている。
長い。
会計は終わったのに何か話している。
他には会計を待つ人は居ない。
僕は、順番待ちの列には居ないので(そこからでは【女神さま】の顔が見えないからだ)、彼がレジ前を開けないのかも知れない。
しかし、レジのそばに籠に商品を入れた僕が立っているのが見えない訳がない。
会計が終わったのなら早くどいて欲しい。
あっ、漸く彼が周りを確認した。僕に気が付いたらさっさとどいてくれ……と、思ったら ――
なっ⁉……な、なな、なにしやがったっ⁉
その男が【女神さま】に……ち、ちち、ちゅー、したっ⁉
あ、有り得ないっ⁉……公共の場所で女性に乱暴するなど……け、警察にちゅうほうしないと~~~っ⁉
「も、もおぅ、
「いや、
……二人は何か、ぐちゃ、ぐちゃ、話しているが僕は頭に血が上って声が耳に入ってこない。
いや、警察に通報が先だ。
僕がスマホを取りだすと……いや、大丈夫だ!……【女神さま】が真っ赤になって暴漢を追い払ったようだ。
良かった。
「さ、災難でしたね!」
僕がレジに商品籠を置くと【女神さま】はまだ(怒りに)真っ赤になったまま答えた。
「お、お客さん……み、見てたんですか?……は、恥ずかしい!」
【女神さま】は恥ずかしがるばかりで、そそくさとレジを打って会計は終わり僕は帰るしかなかったのだった。
*
その夜の事だ。
僕に奇蹟が起きたのだ。
いや、それは、奇蹟のような【偶然】だった。
僕は近くに下宿している高校からの友人(呑み友達でもある)にコンビニでの『愚痴』をこぼそうとビールを数本下げてやってきたのだった。
そこに、【コンビニの女神さま】が居たのだ。いや、いらっしゃいました。
あ、いや、正確には、友人の彼女と、その彼女の友達が【女神さま】だったのだが。
「あら?……もしかしたら、良くコンビニに来てくれるお客さん?」
女神さまが僕に気づいてくれた。
「あ ――っ!?……お前がいつも言ってる【女神さま】って…むぐぅ!?」
僕は慌てて友人の口を塞いだ。
「?……わたし、
そんなこんなで互いに紹介して貰って宅呑み(既に三人はかなり呑んでいた)を再開したのだが。
「丁度良くない?」
友人がそう切りだしたのだった。
「さっきの浮気しちゃいな、って話……こいつ、どうよ?」
「なっ!?……ほ、本気にしないでくださいね!」
女神さまが慌てて言った。しかし、友人の彼女さんが更に被せてきた。
「この
「う、ウソっ!?」
「まあ、ちゅー、されてパンツに手を入れられた時、股間を蹴りあげて逃げたけどね(笑)」
「ご、ご、ごめんなさいぃ!?」
「まあ、そこまではヤラせて貰っても良いんじゃない?……え~と、だれさんだっけ?」
「た、
「うん、たぶたくん……パンツまでは許す♡」
「ええっ!?……そ、それはっ!?」
女神さまが困った顔で僕を見た。
みんな、かなり酔っ払っていた。
大丈夫か?
トコロが僕の悪友が更にトンデモ発言を投下しやがったのだった。
「いや、
そして、机の引出しから『0.01mm』と書かれたピンクの小袋を取りだしてテーブルに置いたのだった。
「それじゃあ、後は若い二人に任せてあたしらは消えますかね?」
悪友の彼女さんが見合いの席の遣り手ババアのような台詞を吐いて二人で出ていってしまったのだった。
いや、どうするよ!
視線を泳がせる僕に【女神さま】が仰った。
「たぶたさん……ど、どど、どうてい(はうぅ⁉)……って、ホントぅ?」
い、いま、それを訊きやがりますか⁉
「
僕は多分真っ赤になっていた。
憧れの【女神さま】に《童貞》をカミングアウトさせられるって、どんな拷問だよ…………い、いや、ご褒美、か⁉
……何故って、【女神さま】も真っ赤になってキョドっているからだ。
「わ、わたしね……さ、三人くらいしか……し、知らないん、だけどぅ……ど、どどどどど、ど、童貞さんとは……し、シタ事なくってぇ……」
いや、やっぱり拷問だろ?
三人……ご、ご存じなんですね、まだお若いのにぃ⁉……そ、それって、ビッチ、とか言うのでは?
「こ、こんなビッチな女じゃ……い、嫌です、よね?」
ちょ、待て~~~~~っ⁉……しょれは、僕に……な、ナニを、恵んでくれる、という意味でふか~~~っ⁉
【この項 つづく】
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