第四話 【女神さま】からの呼びだし

「やあん、靴紐が解けちゃった……結んでぇ♡」

 木々の葉陰が涼を届けるベンチで、LINEで呼びだされた僕に向かって開口一番【女神さま】が言った。

 何故呼びだされたかの説明が欲しいトコロだが、僕は仕方なく彼女の足元に跪いて靴紐に手を伸ばした。


 ちょ、待てぇ!?


 この位置関係、ヤバくないか?

 ぱ、ぱ、パンツ……ちら見えてるんですがぁ!?


「ねえ、もしかしたら、ぱんつ見てる?」


 速攻、指摘されました。

「ご、ごめんなさいぃ!?」

 僕は慌てて視線を逸らせて謝罪したのだが?


「別に良いよ(笑)……足、拡げようか?」


 良いのかよっ!?……先に言って欲しかった(笑)

 ――って、言うか、がばっ、と足を開いて戴いて、もろ、見えなんですが♡

「うわ、今日はピンクの紐パンですね♡」


「うん紐パン、大好き♡」


「ほ、解けそう……とか、心配になりませんか?」

「解きたいのぅ?」

「い、いや、いや、いや、ションなつもりじゃ……」


「ここじゃ不味いから……ラブホとか、行く?」


「ひぇええっ!?」

さん、お金持ってる?」

「だ、大丈夫でふぅ!」

 呼びだされた時、万一に備えて(どんなだ(笑))諭吉さまを財布に詰め込んできました。


 恥ずかしい(僕が)のでタクシーでラブホに到着。


「部屋、わたしが決めて良い?」

「お、おにゃがひ、しまふぅ!?」

「もしかしたら、緊張してるぅ?……初めて入った、とか?」

「ひゃい!」

 僕は、くぴ、くぴ、首肯するばかりだ。

「あっ、そうだ……だったよね(笑)」

 改めて言われたくなかったですがぁ!?


 部屋に入るなり彼女が言った。

「あ、先にスカート脱ぐね……はい、どうぞっ♡」

 スカートを脱いでベッドに坐った彼女の足元に跪いて僕は紐と格闘を始めた。

「意外と解けないでしょ(笑)」

「は、はい!」


「じゃあ、ベッドに寝るから、ゆっくり、やってね♡……解けなかったら、えっち、無しね(笑)」


「え、え、えっち、てぇ!?」

 話についていけない僕に【女神さま】が言った。


「次に会った時、続きをスルっていう話じゃなかった?」


「し、しかし、彼氏さんはぁ!?」


「ああ、桃嫵ももなしとは別れた……胡桃くるみちゃんも、あんな浮気ばかりするヤツより、の方が良いって言うしぃ(笑)」

 胡桃ちゃん、というのは僕の悪友の彼女だ。


 は、はいぃ!?

「し、しょれは……か、かか、彼女と言うコト、れしゅかっ!?」

「ああ、いきなり彼女は無いよね(笑)」

 美玖みくさんが笑い、僕たちは同時に言葉を発していた。


「お、お、お友達から……」

「先ずは、セフレから……んっ?」


 僕たちは見事に空廻っていた(笑)。

「せ、せ、セフレ……ってぇ!?」

「わたしと、えっち、したくない?」

「し、したい、れしゅ!?」


「じゃあ、セフレから……と言うコトで♡」


 そのまま、ごろん、とベッドに仰向けに寝た彼女のショーツ(の紐)に手を伸ばすと、美玖さんが笑いながら言った。


「ね、その前にズボンとぱんつ脱いでっ♡」


 にゃんで、れしゅかっ!?

 戸惑う僕に構わず美玖さんが上向けた手で、くいっ、くいっ、と煽ってくる。

 仕方なく脱いだ僕を見て彼女が笑った。


「やだあ、もうガチ勃起してるぅ(笑)」


 そりゃあお年頃の男子なら、します、ってぇ!?


「それじゃあ、逆向きに寝て……たぶたさんは紐を解く、わたしはする、OKっ♡」


「ひゃいぃ!?……い、良いんでしゅか?」


「わたし、今までの彼氏たちに散々は仕込まれたから、得意なのぅ♡」


 はうっ!?……そ、その情報開示は嬉しくないですぅ!?

 でも、身体が『おしゃぶり』を欲してベッドに飛び乗っていた(笑)。


「わたしって、【癒しの天使】なんだって♡」


 おしゃぶりしながら美玖さんが言ってくる。

「はいぃ!?……イミフなんですが?」

「わたしにおしゃぶりされてるとぅ、気持ち好くて、うと、うと、してくるんだって(笑)」

「そ、そう、なんですか?(ぼ、僕的には……あ、あり得ないですがっ!?)」


「気持ちかったら、眠っても良いわよぅ♡…(勝手に使っちゃうから(笑))」


 駄々漏れる心の声を聞かなかったコトにして、僕は紐と格闘を再開したのだった。

「や、やったあ……片方解けたぁ♡」

 僕の声に美玖さんが、ごろん、と向きを変えた。

 ……って言うか、僕の顔を跨いでるんですがっ!?

 片方解けた小さい布切れが捲れて……い、色々見えてるんですがぁ!?

 し、しかも、僕の口の上に美玖さんの……だ、大事なトコが、載っかってるんですがぁ!?

「あ、あの…でしゅね…」


「ひゃああっ!?……そこで喋らないでぇ!?」


「な、な、なぜぇ!?」


「いやあっ!?……ば、バイブレーションが……く、くりゅのぉ♡」


「は、はいぃ!?」


「あふぅ♡……しゃ、喋るの、禁止ぃ!?」


 叫ぶように言った美玖さんが、

僕の顔を挟んだまま、きゅっ、と股を絞めつけた。

「おうふっ!?」


「いひぃ!?……も、もしかしたら、わざとやってるぅ?」


 僕の上で、びく、びくっ、と腰を震わせて美玖さんが怒っている。

 ど、ど、どうせい……とぉ⁉



            【つづく】

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