第5話

真空刃が当たったのは天海ではなく、少年の腕だった。


少年は何も言わない。

いや、何も言えない。

腕が吹き飛んだのだ、痛いに決まってる。


痛みで意識が霞む少年をみて天海は


「何でそんなに体張れるわけ!?私たち今日会ったばっかでしょ!?」


天海の叫びに少年は


「女の子一人守れねぇで…何が異能力者だ…」


今にも消えそうな声でそう言った。


「なんでよ…もう…やめてよ!」


天海の目から涙がこぼれ落ちる。


自分のためにここまで体を張ってくれたのに、何も出来ない自分に対しての悔しさから来るものだ。


「いいわよ…私だってやってやるわ…」


涙を拭い前を向く。


「アンタの相手は異能都市第7位 天海恵よ。」


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