向日葵→林檎→胡麻……

「編み物」

「の……野武士」

「えぇ~?」

笑いながら、彼女は僕を見た。

「じゃあ、白装束」

「それもどうなんだよ」

「あ、授業始まるね」

ごそごそ。

彼女はルーズリーフを1枚差し出して来た。

『くつ』

書いて渡すと『イラストで!』と突き返される。

……靴は、やめよう。

僕はクリップの絵を描いて渡した。すると何故かリスの絵が返って来た。……リス?

絵は下手だからなぁ、別のに見えたのか。えーと……そうだ、スイカにしよう。

次に返って来たのは……あれ。何だコレ……立方体?

もう良いや、彼女の想像力に任せよう。僕は適当にぐるぐるっとした『何か』を書いた。

しかしアッサリ彼女は服のイラストを描いて寄越す。もう僕には『しりとり』の流れが判らない……。


窓の外を見た。

遠くに向日葵が植えてある家の屋根が見える。あそこからスタートしたんだっけ……。

ぼんやり思いながらも手はルーズリーフを折り――紙飛行機にして、飛ばす。

息を飲んだ彼女に『ちょっとは僕からもビックリさせられたのかな』と思いながら、ノートの端に『降参』と書いて見せる。

負けず嫌いな彼女は、それで咎める様な視線をやめてニッコリと微笑んだ。




 <終>

――――――――――

 <後書き>


このお話はリクエスト作品で

『編み物(服のニットでも可)』『紙飛行機』『ひまわり』を題材にしたお話

です。


彼女にはクリップが『釣り針』に見えたというか、敢えて見えた事にして相手の反応を楽しんでいたのです。

この様にして、

(クリップ)釣り針→リス→(スイカ)スマイル→ルービックキューブ(立方体?)→(?)豚の角煮→(服?)ニット

と彼女は進めていました。


『僕』は『しりとりの勝負』も『紙飛行機』も手放した……という訳ですね。

彼女の性格を考えると、1番賢いやり方だと言えるでしょう……。

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